先日、日本のマネーロンダリング対策が不十分との指摘を受け、企業の実質的支配者をあぶりだすように、法務省が動き出したということを知った。おカネに色は付いていないし、デジタル化されたキャッシュのやりとりなら膨大で迅速なので、そう簡単には追跡できない。でも組織犯罪で得た巨額のブラックマネーを表に出せるようにするには、それなりの工夫がいる。
インターネットは匿名が命だが、同時に影の面もある。いわゆる仮想通貨の登場は、
・巨額の資金を匿名下で迅速に取引できる。
・将来の値上がりを期待しての投資にも向く。
ということで、人気(取引価格)を高めてきた。しかしマネーロンダリングなどに利用される懸念もあり、賛否は分かれる。面倒なので自国建て通貨をやめ、仮想通貨を法定通貨にする国も現れた。一方で、仮想通貨に厳しい目を向ける国もある。その代表格がGDP世界第二位の国である中国。今回、仮想通貨のあらゆる取引を禁じ刑事罰すら課すという規制に乗り出した。
中国、仮想通貨の規制を強化 海外取引所のサービス提供禁止へ|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
一時期は仮想通貨のマイニング(コンピューティングパワーと電力が必要)の8割は中国で行われていたのだが、当局が規制し始めた2017年以降マイニングはもとより、取引所も閉鎖されて取引ができなくなった。今回海外との取引も禁止されるので、中国市場から仮想通貨は駆逐されることになる。
やはり「ヒト・モノ・カネ&情報」のすべてを統治したい共産党政権にとって、政府が関与しないカネなど「悪」というわけだ。近いと言われる「デジタル人民元の登場」までに、市場を綺麗にしておこうということだろう。そのデジタル人民元だが、やはり中国独自のインターネット同様「実名でしか使えない」ものになるのだろうか。
世界中でランサムウェアが暴れ回っているが、身代金支払いには仮想通貨が使われる。誘拐事件は身代金受け取りの瞬間が、犯人にとって一番危険な時。それを匿名下でできる仮想通貨によって、この種の犯罪は広まった。それも「実名でしか使えない通貨」では、できなくなるということ。
高度な能力を持つロシア拠点のランサムウェア犯罪者も、仮想通貨を排除した中国市場に対してはお手上げ・・・ということでしょうかね。