Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

民間活用による行財政改革

 電子行政というのも長い間関わって来て、なかなか成果の見えない分野だと思っている。電子化/ICT導入というのには段階があって、例えば、

 
(1)人手でやっていたものを電子化によって合理化、省力化する。
(2)各部署で得られたデータを活用して、経営改善をしたり付加価値を生み出す。
(3)サプライチェーンや地域を巻き込んで、エコシステムを作る。
 
 のような展開が考えられる。ビッグではなくてもICT活用ではなく「データ活用」を考えるようになっていれば、第二段階に入ったと言える。それが行政では、組合が強いせいもあって人員削減ができない。だから第一段階も上手くいかないのが普通だ。ICTを導入すれば、その分だけコストアップになってしまうからだ。
 
 どのような自治体でも財政事情は厳しい上に、市民からの要求は増えている。福祉の充実、公共交通への支援、公園など生活環境の整備、産業誘致などやりたいこと、予算が欲しいことばかりである。そうはいっても「無い袖は振れぬ」とばかり、置き去りになっていることが多い。そんな中、市が行財政改革をするために有力民間企業の力を借りた例はいくつかある。例えば浜松市は、地元の有力企業「スズキ」の協力を得て改革を進めている。

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 「スズキ」という会社とは少しだけおつきあいがあって、一度浜松の本社に伺ったことがある。失礼ながらストレートに言うと、名にし負うケチ会社である。浜松駅近くの広い敷地には、樹の一本も植えられていない。水をやるのが惜しいからだと聞いた。
 
 激しいコスト競争にさらされてきた企業の感覚からすれば。行政現場にはムダだらけだ。他にも民間の知恵を活用して合理化(上記の第一段階)をした例はある。中部国際空港関西国際空港よりずっと安いコストで開業できたのは、トヨタはじめ地元企業の協力があったからだという。
 
 企業のコスト意識を行政に活用するのは、まず首長の強い意志とそこそこ長い任期あってのことだ。改革のためには市民も何か犠牲にすることもあるから、そのような首長候補を有権者がちゃんと選ぶことが第一歩である。