Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日米財界人会議2019(後編)

 僕が関わるようになる前のこの会議は、昨日紹介したような「フランクな議論」ができる場ではなかったので、米国参加企業が減っていたらしい。しかし日本企業の役員も国際会議に慣れた人も増えてきて、特にMUFGの平野会長が日本側議長に就いてから雰囲気が変わってきている。

 

 一つには、以前には延々続いた両国政府関係者の「演説」が簡素化されたりパネルディスカッションも増えたりした。プログラムの進歩がある。中央テーブルからのQ&Aも増えたし、日本企業の役員もかなりの人が英語でコメントしたり質問している。

 

 もう一つには、個別テーマを議論する「分科会」がアクティブになったことがある。僕が関わっているのは「デジタル分科会」なのだが、ほぼ3時間にわたって結構奥深いところまで議論ができたと思う。もともとデジタル分野は英語が基本、主なやりとりは英語(たとえ日本語イントネーションの英語でも)が便利なのだ。

 

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 2年前にもこの会議のことを下記の記事で紹介しているが、その時に比べると「フランクな議論」にかなり近づいているのがわかる。

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/09/19/150000

 

 もうじき60回目を迎えるというこの会議が、本当の意味で日米連携・協力を推進できるようになる日も近いかもしれないと期待する。もちろん「共同声明」の文言については、事前にほぼ固まっていて分科会や全体会合で出た意見でひっくり返ることはないのだが、追加の課題を提示することはできるしそれは次の年の共同声明に生かせる可能性も十分ある。

 

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 この「共同声明」というのは、両国の大統領・首相に直接手渡されるもので、日米産業界の総意として受け止めてもらえるわけだ。まあ安倍政権はともかく、トランプ先生がちゃんと読んでくれる保証はないのだけれど・・・。「共同声明」の発表に関しては、当然メディアの関心も高い。演壇の反対側、大きな合衆国国旗の前にはTVニュースのカメラもいっぱい並んでいた。

 

 4年前、この会議で「初めてデジタル経済の話をとりあげるから」との理由で僕が関わることになったのだが、このところ伝統ある会合で「初めてデジタル経済をテーマのひとつにする」というケースが増えている。8月のイスタンブールもそうだったし、今月のカンタベリーもそうだ。

 

 大学の専攻で「Computer Science」を選んだ時には、この専門分野の対象がここまで広がるとは夢にも思わなかった。まあ、もう少しだけ夢を見させてもらいましょうかね。