昨年8月初めてイスタンブールに出かけ、「中東現地協力会」の会合に参加したことは下記の記事で紹介した。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/08/13/140000
僕が参加した理由は、この会合でデジタル経済が取り上げられたからだが、その背景には昨年のG20大阪サミットで日本政府が「DFFT:DATA Free Flow with Trust」を提唱したことがある。この場の議論でも中東諸国、特にサウジアラビアの「データに国境を立てる姿勢」が際立っているという話が出た。
そのG20、今年の議長国がそのサウジアラビア。経団連からB20(民間)の会合として、サウジと日本のオンライン会議をするとの連絡をもらったので、傍聴させてもらうことにした。これもある種のハイブリッド会議で、日本側で発言機会のある人は経団連会館に集合している。
開会にあたって日本側シェルパ(民間会合の日本代表のこと、モノをかつぐわけではない)である経団連の常務が会合の趣旨を話した。要は「COVID-19」下ではあるが、オンラインで民間会合ができて良かったということ。経団連副会長の挨拶に続いて、サウジ側シェルパが今年のB20の論点や方向性をスライドを使って説明した。論点は4つ。
・デジタル化
・貿易、投資
・エネルギー、持続性&気候
・金融、インフラ
僕らの関心は当然最初の項目であり、外務省の審議官も経団連のスピーカーも「DFFT」を唱えて、国境を渡るデータが経済価値を生むと主張した。その反応はというと、本質的な議論には入れない雰囲気。表面上、Block-chainとかAIなど技術の名を挙げて、デジタル化は推進したいし、TrustやCybersecurityは重要だというだけ。
他の項目に絡めても、e-commerceやSmart-cityのレベルにしか議論が行かず、具体的にどういう分野でどんなデータを使って効果を上げるから「国境を超えるデータが必要」との話に届かなかった。これがリアル会議なら、終了後にちょっと耳打ちも出来たのだろうけれど。
先方のスピーカーには女性もいました。ムハンマド皇太子の改革は進んでいるようですから、次回の対話に期待しましょう。