Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル課税 vs. 関税

 今年の「ダボス会議」は環境問題が主要な争点と報道されている。僕が聞いたところでは、デジタル分野では1にサイバーセキュリティ、2にブロックチェーンが話題になるらしい。すでにAI人工知能)のことは言いつくされたのか、プライオリティが下がっている。さて争点の「環境」だが、二人の注目すべき人物であるグレタちゃんとトランプ先生の直接対決はなかったようだ。

 

 前者は「権力者が今すぐ実効ある行動を」と迫り、後者に対して「あなたの怠惰が火に油を注ぐ」と非難した。後者はみずからの経済政策・成果を自画自賛、「環境問題を言い立てる悲観論者が、世界経済を危うくしている」と突っぱねた。ある意味極端と極端、どっちもどっちの「論戦」に終わった。

 

 主要な争点が今回の会議でどう動いていくのかは、もう少し時間がたたないと分からない。そもそも一度の会合で答えが出る、成果が出るほど簡単な問題ではない。議論することが重要だとの意見には賛成である。

 

    f:id:nicky-akira:20200123192556j:plain

 

 しかし「ダボス会議」にはいろいろな人がやってくるので、公式・非公式の会合が一杯開かれる。その中で、仏国のルメール財務相と米国のムニューシン財務長官の会合は意味のあるものだった。仏国が導入するとしていた「デジタル課税」に対し、米国が「GAFA等に課税するなら、お前のところの皮革製品や化粧品などに関税を追加するぞ」と脅したのだ。トランプ先生が渡航するにあたり有権者たちに、「Big Dealで欧州からカネをぶんどってくる」と言っていたことの一環だろう。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54729720T20C20A1000000/

 

 その結果、仏国が折れて年末まで課税を延期した。「今後はOECDで議論されている課税方針に協力して議論していく」としているが、課税そのものは撤回していない。「デジタル課税」については何度か記事にしていて、OECDの案についてもコメントした。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/10/10/140000

 

 「無形資産」を基にしたグローバルビジネスに課税するとあるので、GAFAだけでなくすべての(自動車産業も、製薬業も・・・)その対象になる。仏国の施行延期は結構ですが、全てのグローバル企業は対策を考えないといけませんね。