Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

トルコ・パキスタンも参戦!

 4年ほど停戦状態だったイエメン内戦が、再点火されている。かつて「世界最大の人道危機」とも言われたのだが、その後ガザ地区はじめもっと多くの人道危機が起きてしまって、見えにくくなっていたエリアではある。

 

 イエメンにはサウジアラビアが支援する暫定政権があるが、決して市民の支持を受けてのものではない。サウジの傀儡政権と言うのが実態。これを上回る軍事力を持つのが、半政府組織フーシ派。イランの支援を受けているが、イランの思惑通りに動くかどうかは定かでない。

 

 ただ今回は、イランのホルムズ海峡封鎖と呼応した形で紅海の出口であるバブ・エル・マンデブ海峡を(サウジ関連船舶だけが対象だが)封鎖したと主張している。サウジの首都リヤドやサウジを横断する石油パイプラインにも攻撃をかけており、サウジも本腰を入れてフーシ派対策に乗り出している。

 

    

 

 とはいえ、頼りにしていた米軍は動かず(*1)サウジアラビアには、新しい用心棒が必要になった。それが、トルコとパキスタン。

 

サウジアラビアとトルコ、パキスタンが「合意した軍の部隊」の展開方針決める…反政府勢力フーシの越境攻撃に対応 : 読売新聞

 

 3ヵ国は同盟関係にあり、今回の対フーシ派の戦闘に両国が参戦する動きを見せている。この両国の軍事力は、かなり強力である。Global Firepowerの2026年ランキングでは、

 

9位 トルコ

14位 パキスタン

 

 となっていて、イスラエル(15位)、イラン(16位)より上位にある。本気で掛かれば、フーシ派をいくつかの拠点に封じ込めることもできるだろう。ただイスラエルがハマス根絶が出来ないように、フーシ派も根絶やしにはできない。問題はその後である。この3国同盟が、フーシ派の支援者であるイランに対峙するのか、宗教的な問題でイスラエルに対峙するのかは分からない。現時点では前者の公算が高いが、後者だって無いとは言えない。

 

 トルコはNATOの一員ですし、パキスタンはインドとの紛争も抱えています。中東イエメンの局地的な内戦が引き金になってWWⅢ、という可能性だって無視できませんから。

 

*1:用心棒としての米軍の終わり - Cyber NINJA、只今参上

トランプ政権、なりふり構わぬ選挙対策

 米国中間選挙まで残り1ヵ月を切り、トランプ大統領が「不正の温床」と嫌悪する郵便投票が始まっている。各紙の支持率には差があり、CNNなどは32%、政権寄りのメディアでは39%ほどである。これまでの暴挙・暴政でも4割近い支持があるとは信じがたいのだが、識者によると「まあ、こんなもの」らしい。

 

 選挙の行方は、正直分からない。共和党がダメでも候補者個人が選挙に強ければ、民主党候補は勝てない。そんな「Red State」がいくつもあるからだ。ただ政権側の危機感は強いようで、打てる手はなんでも打つようだ。一つには、税公金を使った政権CMの放送(*1)。完全な公私混同だが、そんなことも気にしないみたいだ。

 

    

 

 トランプ政権での困ったちゃんNo.2といえばヘグセス国防長官だが、彼も専門外であるはずの選挙で動き始めた。なんと全軍兵士(士官も含むのだろう)に投票のための特別休暇を1日与えるという。

 

ヘグセス国防長官 全てのアメリカ軍兵士に1日の活動休止を指示 中間選挙の投票促す|FNNプライムオンライン

 

 米国の選挙はまず有権者登録をしなくてはならないし、面倒なので投票に行かない人も多い。ヘグセス君は配下の軍人を投票に行かせる措置をとって、親分に忠誠を見せたことになる。ただ本気でこれが共和党議員に有利になると思っているのなら、勘違いも甚だしいと思う。

 

 無茶な作戦や部隊運用を強要し、米軍には反ヘグセスの意識が高まっているはずだ。さらに将官を2割削減すると宣言したばかり(*2)。これによってキャリアパスを見直さざるを得ない士官や、その部下たちが「休暇貰ったから、共和党に投票するぜ」と思うだろうか?でも意地悪なヘグセス君のことだから、投票したかどうかの成績表くらいは、部隊長に要求するかもしれない。だから投票には行くとして、誰に投票するだろうか?

 

 本気でやるなら、透明の投票箱・戸別訪問で投票を強制・部隊長が直接監督・・・くらいのプーチン流が必要だったでしょう。さて、結果はどうなりますかね?

 

*1:トランプ政権CMに「税金で選挙宣伝」と批判 11月の中間選挙控え [アメリカ中間選挙][トランプ再来]:朝日新聞

*2:ヘグセス氏、米軍将官を20%削減と発表 「粛清ではない」と主張 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

「徴収」されるリスクを抱えて

 昨年の高市総理の「戦艦を使って(中略)存立危機事態となり得る」発言以降初めて、今月岩屋元外務大臣らが渡航して王毅外相らと会談した。政府関係者ではなく「日本国際貿易促進協会」の代表として、多くの産業人を連れての訪問だった。

 

習政権、岩屋氏を厚遇 友好団体との対話再開か―中国:時事ドットコム

 

 習大人は、元から高市早苗と言う政治家が嫌い。総理としての初めての会談でも、表情が硬かった。仮に上記の発言が無かったとしても、日中関係は冷え込んでいたはず。そこにかの発言があって、習大人は「日本に行くな」と言ったらしい。それ以上の指示はなかったのだが、忖度した共産党幹部は矢継ぎ早に対日強硬政策を打ち出した。

 

    

 

 事実上の断交で、日本も困るのだが中国だって困っている。国内はデフレで過剰生産、若者の失業が溢れている。そこでしばらく冷却期間を置き、国交正常化へのシグナルを送り始めたのが今回だと思う。これに対し、識者は歓迎の意向を示し、

 

「対立はあっても、外交・経済の対話は必要。言うべきことは言うが、断交は良くない」

 

 と言うのだが、SNS等では、

 

「(中国ガン無視の)高市頑張れ、媚中の岩屋元大臣らは国賊」

 

 の論調が少なくない。僕も首脳・閣僚・官僚・産業人など各階層ごとの対話は必要で、台湾問題などは棚上げにしても環境問題や貿易促進など協力できることはあるはずだと思う。政治家や官僚、産業人らはSNSの論調に負けず、あるべき道を勇気をもって進んでほしい。

 

 ただ産業界としては、気になるニュースもある。

 

有事に民間のAI技術・人材を軍事転用 中国が改正国防動員法施行、台湾を念頭か - 産経ニュース

 

 もともと中国は閉鎖的な国、強権国家でもある。国家情報法などその典型で、自由な企業活動の障害である。今回の改正国防動員法は、もっと酷い。これまでも有事の際には民間資源を「徴用」できることになっていたのだが、今回は一歩進んで「徴収*1」されてしまうことに。

 

 せっかく日中の関係が少し改善に向かうかと思ったのですが、これでは日本企業は対中ビジネスを減らしていかざるを得ないかもしれません。

 

*1:徴用はその時だけだが、徴収となると永久に戻ってこない

統一ロシア圧勝、でも動員前に増税へ

 先月末、ロシアの下院議員選挙が行われた。多くの紛争国(ロシア・イスラエル・米国等)で総選挙が実施されるのがこの秋の特徴だが、その先陣を切ってのもの。結果は、定数450に対して与党<統一ロシア>が355議席ほどを獲得する圧勝だった。

 

 唯一「反戦」を唱える政党<ヤブロフ>は比例区での立候補を禁じられたり幹部が拘束されるなどして、議席を得られなかったらしい。他の政党はと言うと、<共産党>40、極右の<自民党>25、中道右派<新しい人々>20といった議席数に落ち着いたようだ(*1)。

 

 圧勝かどうかは別にして、与党勝利は確実視された選挙だった。選挙後にプーチン大統領は大動員をかけるとのうわさがあったが、その前に増税をするらしい。

 

ロシア、軍事費調達へ増税計画 戦争で財政赤字拡大 | ロイター

 

    

 

 足掛け5年の戦闘、主力であるエネルギー産業への打撃、増え続ける戦死者(による労働力不足)でGDP成長はほぼゼロ。財政赤字だけが膨らんでいるのは確かだ。で、その額はと言うと、2027年には5兆5,000億ルーブル(約10.3兆円)に上り、対GDP比2.2%に相当する。なるほど、ウクライナ戦線をテコ入れする動員の前に、増税やむなしなのかと思った。

 

 しかし財政赤字10兆円ほどを何とかしようというプーチン大統領の姿勢を見て、日本はどうなんだっけ?と思い直した。2026年度の日本の財政赤字は、GDP比約2.0だから戦争をしている国ロシアと同水準にある。じゃあ、累積債務残高を調べてみると、

 

◆ロシアの累積債務残高 対GDP比 19.1%

◇日本の累積債務残高 対GDP比 204%

 

 だった。プーチン大統領の所業は許されるべきものではないが、少なくとも自国の財政については「選挙で勝利したら、市民には申し訳ないけれど増税」という真っ当な政治家の姿勢が見える。翻って日本の高市内閣、総選挙で圧勝して決めたのは減税である。単年度の(対GDP比)財政赤字は同程度、累積債務残高は10倍以上ロシアに比べてあるのに・・・である。

 

 やっぱり何か、日本の政治はおかしいのではないか?そんな思いをさせた、ロシアの動静でした。

 

*1:プーチン政権与党、355議席獲得か 過去最多で「圧勝」へ―ロシア下院選:時事ドットコム

非常事態に慣れてしまった世界

 ウクライナ・ロシアの戦争は、5年目に入っても止む気配がない。イスラエルのガザ地区・ヨルダン川西岸地区での暴挙も止まらない。イスラエルに引きずられる形で米国も対イラン作戦を敢行、これも8カ月近く経って収まっていない。

 

 スーダンやミャンマーの内戦もひどいはずだが、報道はあまりない。世界は紛争・戦闘と言う非常事態に、慣れてしまったかのようだ。1991年、イラクの独裁者サダム・フセインは、クウェートに侵攻しかの地を占領した。もともと英国等が無理に引いた国境線で、クウェートはイラクの一部だったと主張してのこと。

 

 米国をはじめとする各国は<多国籍軍>を編成して、イラクとサウジアラビア国境に防衛線を引いた。もしサウジアラビアにまで戦禍が及べば、世界経済は大変なことになるとの危機感があった。イラク軍もサウジにまで、侵攻はしてこなかった。

 

京都八坂神社の南門

 あれから35年、サダムはいなくなりイラクは大人しくなったが、大国イランは健在である。イランが直接サウジアラビアを攻撃するようなことはないが、イランが支援するイエメンの反政府組織フーシ派が、サウジアラビアと闘い首都リヤドを攻撃するに至った。未確認だが、聖地メッカも攻撃されたという。

 

 サウジアラビアの軍事費は世界でもベスト10に入るほど巨額だが、正面装備は豪華でも軍人は多くない。軍人が多くなるとクーデターが怖いのでサウジ王家は、

 

・オイルマネーで米国国債や兵器を買ってやる

・その見返りに実質防衛を米軍に委ねる

 

 ことにしてきた。ところがトランプ大統領はフーシ派を攻撃することを嫌がり(*1)、かの勢力が紅海の出口(バブ・エル・マンデブ海峡)を扼する位置に来たり、サウジを横断するパイプラインを機能不全に陥れても、まだ攻撃をためらっている。

 

トランプ氏、対フーシ派空爆を直前に撤回 サウジの要請めぐり二転三転か 報道 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 

 米軍という用心棒は頼りにならず、最大の原油生産国サウジアラビアは窮地にあります。それでも国際社会は、さほど騒いでいません。世界は非常事態に慣れてしまったのでしょうか?

 

*1:用心棒としての米軍の終わり - Cyber NINJA、只今参上