サイバー空間での犯罪が増えているのは、インターネットやSNS等が犯罪にも便利だというだけでなく、リアル空間で犯罪者が棲みにくくなったことも一因だと思う。スピーディな展開が面白いCBSのドラマ<NCIS>では、事件が起きると、周囲の監視カメラを調べ、かすかな遺留物から手がかりをつかみ、容疑者が浮かべばその人物の銀行口座、クレジット履歴、通話記録を探って、携帯電話で現在位置まで特定してしまう。
遺留物としては、足跡や指紋はもちろんのこと、被害者の爪にあった皮膚片や毛髪、体液などのDNA分析がされて犯人が特定されてしまう。そんな科学捜査が、ついにここまで来たかというのが、この記事。
推理小説の犯人当てシーンに影響? 「空気中の環境DNA」を調べれば「直前にいた人」が分かる|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

空気中からDNAを採取して、そこにいた人物を特定する技術が実用化されたというもの。すでに絶滅危惧種や危険な生物(例えば人食いクマ)の追跡には、この技術が適用されている。
刑事:お前、かの(現場)の部屋に行ったことがないというのは本当か?
容疑者:どんなに酔っぱらっても、あの部屋どころか建物にも近づいてねえよ。
刑事:嘘つけ!お前のDNAがエアコンのフィルタに付いていたんだぞ!
という次第。まあ、空気中のDNAが実際の裁判で証拠として扱われ、一般市民である裁判員を納得させられるかについては不透明だが・・・。
では犯行をもくろむものはサイバー空間に逃げるしかないのか?どうしてもリアル空間で重大犯罪(例えば殺人)を行いたいなら、古典的な方法だが「犯罪があったことを気付かれないようにする」のが安全な道。
高名な監察医である上野正彦先生は、日本の監察制度が5大都市に限られ(*1)ていて、監察医が不足して検視が行き届いていない可能性を指摘しておられる。事件性がないと現場が判断し、遺体を監察医に持ち込まなければ捜査は行われない。
ミステリーでは思わぬことから事件性が露見し、周到な犯人が捕まってしまうことがよく描かれますが、実態はどうなのでしょうね?やはり見逃されているケースが多々あるのではないでしょうか。