Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「賞金稼ぎ」の出番かも

 正月休みに、BS映画をたくさん見た。印象深かったのは「ジェイソン・ボーンもの」、マーク・グリーニーの「暗殺者シリーズ」を思わせるスピーディな展開が小気味よかったし、主演のマット・デイモンがいい。その他に古い西部劇もいくつか見た。それらを見て思ったのは「この世界には法律はないな」ということ。

 

 そこで登場するのが、カネ目当ての犯罪者やならず者。時に反目し時に連携しながら、我欲を満たそうとする。取り締まる方は、正規の官憲は全く手が足りないか役に立たない。そこで凄腕の「賞金稼ぎ」か「殺し屋」がカネで雇われ、事態を解決することもある。もちろん、もっとひどくなることも・・・。

 

 この状況、今のサイバー空間に似ているなと、ふと思った。もちろん正規の官憲の努力は買う。日本政府は「攻撃者優位を覆す」としてサイバーセキュリティ新戦略を定めたし、デジタル庁含め関係省庁の連携も強化している。警察庁も今年は「サイバー局」を設置して、サイバー空間での犯罪に対抗しようとしている。

 

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 しかし悪者たちはさらに巧妙になる。インターネット経済は水平分業が主体、昨今流行りのランサムウェア攻撃にしても、それ自体を開発する必要もなくRaaS型のサービスを利用すれば、ごくわずかの努力で高度な犯罪が出来てしまう。だから昨年、この手の攻撃が多発した。しかし<コロニアル・パイプライン社>の事件では、社会混乱を招いたことから犯罪集団「ダークサイド」は、どこからともなく反撃されて消滅し身代金の応分も奪還されることになる。

 

ランサムウェアの潮目が変わった、米国当局が勝ち目のないと思われた戦いにわずかながら勝利を収めた | TechCrunch Japan

 

 この記事は、猛威を振るったランサムウェア攻撃の潮目が変わりつつあるとしている。上記の事件だけでなく、米国政府が犯罪集団についての情報提供者に最大1,000万ドルの賞金を出していることを取り上げた。ここには情報提供としか書いていないが「賞金稼ぎ」のような商売が出て来てもおかしくない風情である。国際社会の中で生きる一匹狼の殺し屋や西部開拓時代のガンマンのように、実効的な法律のない世界では、カネがモノを言う。

 

 昨年法律家と議論した時に「身代金を払うことそのものは、原則法律に抵触しない」と聞きました。賞金稼ぎを雇ってカネを取り返すことはどうなのか?今度聞いてみましょう。