Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「顔のない死体」のトリック

 妖館で起きた連続殺人事件、官憲の捜査は手詰まりとなり、有名な探偵がやってくる。探偵は証拠品や関係者の証言を調べるのだが、また新たな犠牲者が出る。そしてついに探偵が暴いた真犯人は、最初の犠牲者として死んだはずの男だった・・・。

 

 いくつこの類のミステリーを読んだろうか?しかし最近の科学捜査能力の向上は、真犯人に絶望感をいだかせるほどになっている。ホームズ先生の時代には、まだ指紋も犯罪捜査に使われていない。

 

 死体の顔を損壊すれば、識別は難しくなる。1910年ごろから指紋識別ができるようになったが、指紋を焼いたり腐敗させて採取できないようにすれば「顔のないトリック」は成立した。しかしその後、歯型を使う識別法が出て来て犯人は首ごと持ち去ることを迫られる。

 

        

 

 たとえ首が無くても、血液型や手術痕、特徴的な刺青なども検死で視られるので、簡単に「身代わりの死体」は見つからなくなる。とどめはDNA鑑定という手法だ。現在は相当念入りに焼かないと、骨髄の中からでも、何十年経っていてもDNAは検出できるらしい。だから、もうこの手のトリックは使えないはずだった。しかし、ドイツで現実に自分によく似た人物(ドッペルゲンガー)を殺して自分の死を偽装する事件が起きた。

 

「ドッペルゲンガー殺人事件」に世界が震撼。SNSで見つけた自分そっくりな女性を殺害か(ドイツ) | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

 

 SNSでターゲットを探したというのが今風だが、ただ似ているだけでは身代わりは難しかったということ。全く同じドッペルなど存在しないのだから、官憲が疑問を持ったら検視をするので企みは瓦解する。

 

 この記事では詳細は分からないが、官憲が疑問を持たないために別の偽装(自然死に見えるとか、死後スムースに入れ替われるとか)が必要だったはず。ちょっと残念でした。今後は、ネット上の画像を顔認識でサーチして対象を探すヤカラもでてくるかもしれませんね。