Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

人民元の意外な信用度

 中国経済への不安が広がっている。派手に支援(大半は借款)をバラ撒いてきたアフリカ諸国に対しても、今年は目標を絞った支援にとどまった(*1)。国内の景気減速に、ついにIMFも警鐘を鳴らして財政出動を求めた。IMFギリシアや韓国に支援に入ったことがあるが、日本ほど大きな規模の国を支援する能力はない(*2)。だから当然、中国も支えられないわけだ。

 

【お金は知っている】ドン詰まる習政権の金融財政政策 IMFが勧告も「怠慢を生む『福祉主義』だとして反対」…中国が財政出動をしたくてもできない理由(1/2ページ) - イザ! (iza.ne.jp)

 

 倒れられたら困るので、今回の警鐘になったのだが、この記事は「中国は財政出動ができない」という。

 

    


 記事中のグラフを見ると、2008年当時は外貨準備(多くは米ドルだろう)が伸びるのに合わせて、人民元も増えている。外貨は人民元総数の120%近くあった。要は全ての人民元を回収して、外貨で代替えすることができたのだ。

 

 しかし、2014~18年に外貨準備が大きく落ち込んだ。人民元は減らなかったので、今は人民元の6割しか外貨準備がない。だから、これ以上人民元を増やせないのだとこの記事は主張している。ポイントは「中国人民が、人民元を信用せず米ドルを信じている」こと。これでは、中国経済は「米ドル本位制」ではないか!

 

 EUは統一通貨ユーロなので、大国フランスでも自由な財政政策ができない。だから「Frexit」を求める人もいるくらいだ。通貨発行権は本来譲ることのできない主権であって、かろうじて日本はそれを保っている。サイバー空間すら「俺の主権」とおっしゃる習大人が、通貨の主権をお持ちでないとは・・・。意外な課題がありましたね。

 

*1:中国・アフリカ協力フォーラム開催、景気減速が対アフリカ投資に影響も―仏メディア (msn.com)

*2:IMFは援けてくれず、ただ倒れるだけ - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)