Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

誰がネタニヤフを止められる?

 とどまるところを知らない、イスラエルの暴挙である。ガザ地区を破壊しつくし、ヨルダン川西岸地区武力行使をし、ついにレバノン武装勢力ヒズボラとの全面戦争に突入した。ヒズボラは、単なる武装組織(orテロ組織)ではない。戦闘員は5万人いて、ミサイル等を20万発保有していると伝えられる。レバノン(暫定)政府にも、2人の閣僚を送る政府与党でもある。

 

 それに対して、構成員が持つポケベル、無線機を爆破し3,000名以上を負傷させた(*1)。人員の損失だけでなく、通信手段を使えなくしたことが大きい。もともとスマホ等は傍受の恐れがあるとして使っていなかったし、他の通信手段も危険があるとして使いにくい。近代戦の要諦C4Iのうち、コミュニケーション能力を奪ったことになる。

 

エルサレムユダヤ教会内

 続いてベイルート市内にあるヒズボラ本部を含めた目標に、大規模空爆を実施。最高指導者ナスララ師ら幹部を殺害した(*2)。地下の奥深くまで突入して爆発する特殊爆弾<バンカーバスター>を使用したらしい。これでC4Iのうちのコマンドとコントロールも(少なくとも一時的には)奪えたので、地上侵攻の準備は整った(*3)ともいえる。レバノンにいる邦人を退避させられるよう、自衛隊機が飛んだと伝えられる。内閣が変わるタイミングだが、無事にミッションを果たしてほしいと思う。

 

 ネタニヤフ首相は国連で演説し、自国の生存権を盾に攻撃の正当性を訴えた。多くの出席者や視聴者は、この独善にうんざりしただろう。僕自身、イスラエル人にある程度の好意を持っている。サイバーセキュリティ関連企業で、日本に支部があるものも多い。そんな企業の日本代表(多くは日本人)は、取引先に対しての説明に苦慮している。

 

 イスラエルの人からは「ネタニヤフが悪い。イスラエルの一般の人を嫌いにならないで」との声が聞かれました。それは分かりますが、まずは暴挙を止めないと。責任追及はその後でいいでしょう。では誰が止められますかね?

 

*1:遠隔爆破による対個人テロ - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

*2:イスラエル軍、ヒズボラ最高指導者を「殺害」と レバノン首都空爆で - BBCニュース

*3:ヒズボラまひ状態でイスラエルは勝利ムード-憂慮広がるレバノン - Bloomberg