Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

転ばぬ先の「中国」

 30年続いてきた、ナゴルノ・カラバフ自治州を巡るアルメニアアゼルバイジャン両国の紛争は、あっけない幕切れになった。南コーカサスというこの地方は、民族&宗教的に入り組んだ形になっていて、ずっと領土なり主権なりを争ってきたところだ。少し縁があって、アルメニア大使館でその事情を聞いた経験がある。

 

IT立国アルメニア - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 アルメニアには同じキリスト教国ロシアが、アゼルバイジャンにはイスラム教国トルコが肩入れしていたのだが、ウクライナ侵攻以降ロシア(≒プーチン)の威信が低下しアゼルバイジャン側が強気に出て来ていた。

 

 軍事だけではなく経済や政治面で「よく持ち堪えている」ロシアだが、周辺国への睨みは利かなくなっている。「ロシアに仲介してもらって主権や平和を取り戻す」ことは難しくなった。

 

    

 

 だからロシアに支えてもらっている国や政権は、次の何かを探さなくてはいけない。そんな動きのうち象徴的だったのが、先月のアサド・習会談。

 

シリア再興支援へ、首脳会談で中国表明、戦略的パートナーシップに関係格上げ | ロイター (reuters.com)

 

 世襲の独裁者で、自国民に大量破壊兵器を平気で使うのが、シリアのアサド大統領。国際社会の「悪人ランキング」では、北朝鮮の金総書記を上回る得票が期待できる人物である。アサド政権は、隣国トルコとの対立や、複数の反政府組織を抱え、ワグネルなどロシアの軍事力に政権の維持をゆだねてきた。暗殺が怖いので、滅多に海外にでることはない。ところが、今回は勇を鼓して北京に出かけている。

 

・アサド大統領の国際舞台への復帰

・シリア再興支援へ、中国が関係格上げ

 

 などとあるが、簡単に言えば「プーチン頼りになんないから、習大人助けてね」というわけ。イランやサウジアラビアとの関係強化も進んでいるから、シリアにも拠点が出来れば習大人としては有難い話。

 

 代表的な「ならず者国家」であるシリアとの関係改善は、中国のソフトパワー(国際的評判)にどう影響してくるか、注目しておくことにしましょう。