Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

平等政策が招く「共同貧困」

 日本では参議院議員選挙の真っ最中、物価高対策や格差是正が大きな論点になっていて、暫定的な消費税下げ、最低賃金底上げ、非正規雇用縮小などが議論されている。大陸に目を転じてみると、習大人の三期目を決める秋の党大会に向けて、格差是正の政策が進行している。

 

 確かに過熱も度が過ぎているような教育分野については、教育格差の是正のため、

 

・教育の平等化

・学習塾の廃止

・家庭教師等の禁止

 

 が徹底されている。一時期途方もない「成長産業」だった教育市場は、あっという間に崩壊した。学生アルバイトの代表格である家庭教師業もなくなった。それでも一部特権階級には「もぐり家庭教師」を雇っている人たちがいるようだ。教師役が当該家庭に出入りするのにも気を使い、清掃員や郵便配達人に扮装して門をくぐるという。

 

 もっと手の込んだケースでは、タピオカドリンクの宅配にやってきた教師役が法外なドリンク代を受け取って教授するということもあるらしい。これなら指摘されても「ドリンク宅配とその代金」と言い逃れられる。

 

        

 

 平等政策は、公務員など雇用者の給与引き下げにも及び始めた。

 

「給料を自主的に半分カットせよ」中国の賃下げラッシュ驚きの実態 | 莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 

 深圳のIT企業経営者は「公務員というのは一番人気のない職業」だという。ビジネスマンから見ればそうかもしれないが、一般市民から見ればやはり好待遇の人たち。そこで公務員の給与を下げることで、大衆の歓心を買おうということだろう。習大人就任当時の言葉「ハエもトラも叩く」にあてはめると、公務員は大きめのハエということかもしれない。

 

 この記事では、地方政府の財政難を理由に挙げているが、僕はそれ以上に共同貧困政策(!)の色が濃いと思う。掲げた「共同富裕」が難しいので、格差是正を優先させたのだろうが、これでは優秀な人たちは中国に残らない。

 

 すでに上海などのロックダウンに嫌気がさした富裕層が、国外脱出を図っているとの報道もある。国外で教育を受けた人たちなら、シンガポールなどでも職は得られるはず。優秀な人が去り、国内は「共同貧困」で停滞する。習大人に三期目があっても、それは厳しいものになるのではないでしょうか。