Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

破産者MAPによる恐喝

 「COVID-19」禍で生活が困窮した人のニュースは多い。政府は特別定額給付金(10万円)を配布し、居酒屋などの事業者には助成金、個人にも無利子貸し付け金を用意するなどした。この個人貸し付け金、そろそろ返済が求められる頃になっている。無利子(&無担保)とはいえ、借金は借金。未だに職に復帰できない人には、返済のメドは立たない。そこで自己破産を選ぶ人が増えているという。

 

 改めて自己破産の制度を見てみると、借金苦からは脱することができるが、いくらかの制約はある。

 

・一定期間、新たな借り入れができない(例えばクレジットは7~10年)

・不動産や自動車を手放す必要がある

・○○士のような国家資格は停止される

・就業できない業種がある(貸金業・建築業・警備業・産廃業・旅行業など)

 

 要するに、特に金銭的な信用は得られなくなるということ。加えて、事件として扱われ官報にその旨が公示される。事件番号、住所、氏名、事件内容、裁判所名などが記載された官報が出版され、インターネット上のサイトにも載る。氏名等と公開する狙いについては、

 

・法律によって決定された事実の通知

・債権者にとって影響の大きい事実だから

・一般の金融業者も知りたい情報だから

 

 と説明されている。

 

        

 

 そういう破産者の情報だが、2019年にインターネット上に「破産者MAP」が掲示される事態が起きた。官報に掲載された破産者の情報を、GoogleMAP上にプロットしたもの。厳密に違法かどうかは分からなかったが、個人情報保護委員会PPC)が行政指導をして、いくつかあったMAP運営者にサイトを閉鎖させた。しかし、それがこの度復活したとの記事があった。

 

個人情報保護委員会、「新・破産者マップ」調査へ 「事実確認の上で適切に対処したい」 - ITmedia NEWS

 

 上記政府の無利子貸付金のことがあって自己破産者が増えている事実と、この再登場に関係するのかは不明だ。中には「消して欲しければ、6~12万円払え」という業者もある。恐喝なのか身代金なのか、少なくとも金銭要求は違法だろう。

 

 しかしサイト運営者は海外にいるようで、PPCが違法性(個人情報保護法42条:仮名加工情報の第三者提供制限)を調査して、場合によっては「域外適用」を図るかもしれない。金銭要求は違法だが、官報の内容を転記するのは違法なのでしょうか?専門家に説明を求めたいです。