Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

追い詰められるロシア、だが嫌な予感も

 熱波の中の日本、しかも参議院議員選挙真っ最中だが、自民党の岸田総裁は日本に留まっても居られない。先週はミュンヘンでG7サミットがあり、引き続きマドリードNATO首脳会議にも出席した。G7サミットでは、ロシアを糾弾するだけでなく、力による一方的な現状変更は認められないと、中国も念頭に置いた共同声明がまとまった。ロシアはウクライナの都市にミサイル攻撃を行うなどして牽制を図ったが、逆に国際社会に非難される羽目になった。

 

 NATOの首脳会議の前には、フィンランドスウェーデンNATO加盟に反対していたトルコが「要求を勝ち得た」として加盟支持に回った。これで、バルト海はロシアの飛び地カリーニングラードを除いて、NATO諸国に囲まれた海となった。ロシアに1,300kmの国境を接し100万人の動員力を持つフィンランド第二次世界大戦ではヒトラーにもスターリンにもつかず中立を保てた強国スウェーデンNATO加盟は大きな一歩だ。

 

北欧2カ国、NATO加盟へ トルコが容認: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 NATO東方拡大阻止の足掛かりのはずだったカリーニングラードだが、孤立の色が濃い。リトアニアがロシア・ベラルーシからカリーニングラードに送られる貨物を、通行させない挙に出た。あくまで「経済制裁対象品」に限ってというが、ロシアは反発しリトアニアへのサイバー攻撃が急増していると伝えられる。

 

    

 

 NATO首脳会議には、北欧2ヵ国の参加にめどが立ったという絶好のプレゼントがあり、日韓豪も参加して、会合はよい雰囲気に包まれたようだ。ただ少し気になることもある。ロシアのウクライナ侵攻から1ヵ月ほどのころには、米国は、

 

プーチン政権の打倒

・ロシアが二度と侵攻できないほどの「弱体化」

 

 などと言っていたのだが、このところそのトーンが弱まっている。政権打倒とも言わず、弱体化との発言も消えた。確かにプーチン亡き後のロシアに、まっとうな政治ができるはずもない。通常戦力が消耗しても、世界最大級の核戦力は残り地球を破滅させる能力は残る。ある程度のところで今回の紛争を収めるメドが、見え始めたのかもしれない。

 

 G7サミットでも岸田総理はロシアに対して強めの発言を続けていますが、米国に急にハシゴを外される可能性もあります。ロシア非難一辺倒では、ちょっと危険かもしれませんね。