トランプ次期大統領は「辞書の中で最も美しい言葉は関税」だとして、中国に60%、他の国にも友好国であろうが10%の関税をかけると言っている。2023年度、日本から米国への輸出は約1,441億ドル(21.6兆円*1)になるので、その10%が米国国庫に入り消費者は10%高い日本製品等を購入することになる。
では、日本始め諸国は黙っているのか?仮に報復関税を考えるとすると、
■一律10%の報復関税
2023年度米国からの輸入は約825億ドル(12.4兆円*1)になるので、税収は1.24兆円増える。今回の補正予算の1割にも満たないから、財政再建に寄与するほどではない。
■金額が大きくて国内への影響が少ない品目を選ぶと
最大(価格)の輸入品目は航空機関連、その他医薬品・穀物・原動機・肉類・液化天然ガスなどが大物。

天然ガスは補正予算でエネルギー補助をするくらいだから、関税対象にし難い。肉類はいいかもしれないが穀物は国産の肉類の価格に影響するので、ちょっと(当家も)困る。医薬品はどうだろうか?開発されたばかりの特定の疾病用に限定すれば、市民の反発は少ないかもしれない。しかし、それでは効果も小さい。
結局、航空機や原動機といった購入者が割合限定されるモノを対象にすることになるのだろう。もちろん、最終製品・サービスを受ける消費者に転嫁されるのだが。
航空機の例でいうと、日系航空会社がボーイングなどからの購入を、エアバスなどに切り替えることで(時間はかかるにしても)国内への影響は抑えられるのではないか。日欧(&英)間の貿易が増える方向に行くだろう。
僕自身は「関税は汚らわしい言葉」と思っているので、日本政府に報復関税導入をお勧めするものではありません。でも、やられたらやり返すくらいでないと、これからの外交はうまくいかないとも思っていますので・・・老婆心まで。
*1:ドル円レートを150円で換算