Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテナンス産業論(3/終)

 菅内閣で成長戦略会議のメンバーを務めた小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長は、中小企業を合併等で大きくしないと生産性が上がらないといい、大きくならなければ消えてもらうと発言して炎上している。しかし僕は、その主張は正しいと思っている。

 

日本に必要なのは理系経営者 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 特に適正なIT導入をし、維持・運用していくためにはガバナンスの効いた事業体として100億円ほどの年商は必要である。もちろんスタートアップ企業やデジタル企業では100億円に満たなくても、それができることはある。しかし今議論しているのは、既存産業である土木・建設業だ。僕の言葉をきっかけに、この業界に詳しい人たちからいろいろな意見が出た。

 

・100億円か、公共事業費5兆円として、500社養えるな

・いや、今日本には100万社あるのだよ

・大手(ゼネコン)は年商2兆円のところもある

・その中で、国内公共事業は2割くらいかな

 

    

 

  座長の教授が「なるほど、DXどころかIT導入・運用さえ難しいということか。ではどうすればいい?」と聞いてきた。僕は、

 

・合併策の前に業務の標準化が必要、業務がバラバラだと支えるシステムもバラバラ

・大企業でも事業所ごとにシステムが違っていた。それを修正するために、各事業所のIT部門を本社直轄にするなどした

・1990年代の米国企業は、M&Aしやすくするためにライバル企業含め業務&システムの標準化を行った

 

 とIT統合に至る背景を説明して、今回のケースでの理想形を話した。

 

・公共事業の受発注業務は、本来同じはず

・国で自治体等向け発注業務、監査業務のシステムを開発、クラウド型で提供

・同じく受注業務や会計システムも開発、委託業者向けにクラウド型で提供

・5年ほどの移行期間を設け、それ以降はこのシステムでしか受発注できないようにする

 

 「強権的な政治体制ならそうするよね」とのコメントもあったが、僕は「それを念頭に、一歩一歩階段を登るように施策を積み上げていくべきでは?」と言った。受注が難しくなれば、合併やIT統合をしてくれるはずだ。今の国交省の「方針」はそれとして、Goalをどこに置くべきかの考えを示したつもり。

 

 僕は土木工学や建設業には昏い、しかしインフラメンテナンスを産業化したいなら全産業に言えることは申しあげられます。IT統合でDX推進できない産業は、必ず敗れると。