Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテナンスの現場(5)

 今回のツアー、市役所庁舎内だけの議論だけではなく、実際に現場を見せてもらうこともできた。資料で見せられた「包括委託」工事の結果や、橋梁の工事の現場、公園の整備状況などもマイクロバスで巡ってもらえた。<鈴鹿フラワーパーク>というのは、市の中央を流れる鈴鹿川沿いに整備された、面積9.9haの広大なもの。

 

 エントランスから花畑を通っていくと、<ル・マン広場>という4本の塔に囲まれたスペースに出た。自動車レースで有名なフランスのル・マン市と鈴鹿市は、姉妹関係にある。そういえばここには<鈴鹿サーキット>という目玉施設もあった。

 

    

 

 大学教授が「立派な公園だ。広いし整備もきちんとされている。平日でも利用者が多い」と評した。鈴鹿市は海沿いの白子駅を中心とした平地部分と、雪氷対策が必要な山間部に分かれる。この公園はその接点にある。ここでも予算は充分ではないが、整備はボランティアの手も借りて出来る限りのことをしているとのこと。

 

 その後食事の場に移ると、これまでの議論に関して専門家の皆さんが感想を述べ始めた。

 

    

 

・公園整備のボランティアはいいとして、委託事業者がボランティア精神では困る。

・包括委託はいいが、上限(130万円/件)が厳しすぎないか。

・除草や雪氷対策ならともかく、路面補修などでは委託業者の技術力判定が必要。

・これだけ零細事業者が多くてはどうしようもない。なんらかの淘汰が要るね。

 

 ボリューム満点の「ヒレカツ定食」を黙々といただいていた僕に、

 

「やっぱり(事業者の)DX要るよね。NINJAさん、どうしたらいい?」

 

 と質問が飛んできた。慌ててカツを呑み込んで、

 

・DXの前提は基本業務の標準化、これが出来ればシステムが統一できる。

・各社が「ワシ流」を改めるのは難しかろうが、標準化なしのデジタル化は失敗する。

・まず市役所のDXが必要、少なくとも公共事業発注業務は電子化する。

・できれば国で標準的な発注システムを(クラウドで?)提供できるといい。

・例えば5年の移行期を設け、それ以降は電子化でない発注は全廃する。

 

 と応えた。これによって委託業者は(受注のためには)その部分の電子化をしなくてはいけなくなる。要員や技術的にムリというところは、合併するなりなんなりして体制を整えるだろう。

 

<続く>