Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ジョブ型雇用への道、遠く

 日本企業の多くは「メンバーシップ型雇用」、新卒を一括採用して事業所や部署に割り振る。従業員は事実上その事業所・部署の持ち物になり、何をさせるかどこで働かせるかは当該部門の都合で決められる。僕が新卒で入った「伝統ある企業」もそうだった。まあ僕のような専門技術者は、配属される事業所・部署はある程度見えていたが。

 

 その後後輩たちの採用にも関わるようになって、彼らの配属先マッチングについてずいぶん口を出させてもらった。修士・博士の内定者だけに難しい面もあったが、実質的に「ジョブ型雇用」の手助けをさせてもらったと思っている。僕自身も、社内に「こんな仕事があったのか」と気づかされることも多かった。

 

 その後この企業では、ジョブ型雇用のトライアルを一歩一歩進めてきた。僕自身も、明確なそれではないが「社内転職」を何度か経験した。そのように、先進的な日本企業では実質的にメンバーシップ型雇用との決別を進めていたのだ。

 

 この日の日経新聞、1面にある企業が全面的にジョブ型雇用に切り替えるとの記事があったのに、2面にこんな記事が載っていた。

 

地方公務員に共通資格 政府検討、自治体間転籍しやすく: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

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 え、1,700地方自治体では、人員の横流通が出来る仕掛けもなかったわけかと、驚いた。ようやく「資格を共通化する検討」に入るという。資格によってメンバーシップを確認するというのだろうと、勝手に解釈した。本来なら、資格はジョブ型雇用の対象者確認に使うはずのもの。でもとてもそんな発想はなかったのだろうと思う。

 

 組織としてのミッションがあり、その実現のためにどんな人材が必要か、ポストに求められるスキル要件は何か、ちゃんと定義できていないと真の「適材適所」は実現できない。そのためのいくつもあるステップのうち、部門間の種々の共通化は必須のもの。それさえできていなかったことに、僕は唖然とした。

 

 この記事は銀行業界では、すでに取組み(地銀人材バンク)があるという。それよりずっと規模が大きく、庶民生活に直結する地方公務員の人材流通が、このようになおざりにされていたことには怒りすら覚える。

 

 電気通信事業法の悪用など考えず、総務省の皆さんには自治体人材の流通(ジョブ型化)のような基本課題に向き合っていただきたいと思います。