Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテナンスの現場(6)

 次に見せてもらったのは<鈴鹿フラワーパーク>の南側に広がる白鳥湖(加佐登調整池)の傍らにある橋。用水路を渡るだけの短い(5m位)の橋で、用水路が出来上がって後に掛けられている。用水路のコンクリート壁の上面に乗っける工法で作られたのだが、橋を支えるコンクリート部分に亀裂が生じたという。

 

 そこにエポキシ樹脂を注入して、塗装し直す補修をしたとの説明だった。僕は「へえ~」と聞いていただけだったが土木工学の専門家は、

 

 「この程度の大きさ(重さ)の橋を乗せただけでひび割れるのはおかしい」

 

 と壁面の厚みや構造設計上の問題を問いただし始めた。その場では十分な資料は得られず結論は出なかったのだが、既存の構造物に何かを付加する時の留意事項は教えてもらえた。現場経験の長い専門家は僕に「理論上OKでも、現場でカンの働く人がいないとこういうことも起きる」と説明してくれた。

 

 本題ではないのだが、この調整池は県の管轄で、調整池事態の説明をしてくれた。この池は<三重用水>の中核的調整機能を持っているという。<三重用水>は、水の都とも言われる大垣市揖斐川の源流に近いところから始まる。三重県東部は大きな川が少なく、岐阜県から水資源を貰っているのだ。

 

    

 

 大学教授が「岐阜県からの提供容量はどのくらい?」と聞いた。答えは、

 

・理論上、最大毎秒約7トン(農業用6トン、水道用0.7トン、工業用0.2トン)

・現状では、毎秒3~4トンが最大の取水

 

 とのことだった。マイクロバスに戻ってからその教授に「なぜそれを聞いたのですか」と問うと、「揖斐川の支流で毎秒3~4トンが抜かれているが、何の問題も起きていない。大井川の問題が大したことではないと言いたくて」との返事だった。現在リニア新幹線の工事が、大井川の源流の水問題で止まっている。その原因は、大井川の源流から水が失われると静岡県知事が騒いでいることだ。その「失われる量」は毎秒1トンにも満たないという。昨年現職知事が再選されているが、そんな知事を選んでしまった県民として恥ずかしく思う。

 

 その後近隣の橋梁の補修現場など見学させてもらった。綺麗に補修されていたが、工事前の写真を見ると橋を支える鋼材がミルフィーユ状に割けていた。専門家は「50年でこうなるのは、問題だ」と重ねて強調していた。

 

<続く>