Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ロシア軍のフトコロ事情

 日々、ウクライナ各所におけるロシア軍の残虐行為の報道がある。ロシア側は、ウクライナ及びそれを支援する欧米のプロパガンダだと言っている。確かにユーゴ紛争の時は、がれきの街並みはハリウッドのセット、登場する被災者は俳優、という噂が流れたこともある。ただ今回はどう見ても、「フェイクニュース度」はロシア側に高いだろう。

 

 気になるニュースがいくつかあって、ロシア軍による略奪行為が目立つという。本来はあってはならないが、占領地における戦争犯罪はあってもおかしくない。しかし今回の「略奪」は少し異常だ。

 

CNN.co.jp : ウクライナ農家、ロシア軍が大量の穀物を略奪と証言 飢餓の歴史再来の懸念 - (1/2)

 

        

 

 ロシア軍はウクライナ穀物備蓄を、わざわざトラック部隊を呼び寄せて持ち去っているという。この記事では、ウクライナ兵糧攻めにしようとしていると考えているようだが、もっと直接的に「穀物が欲しいから盗っている」可能性が高い。前線で兵站が追い付かず、食糧不足なので占領地で略奪を働く・・・。これはナポレオン戦争以前は普通のことだった。しかし今回の行為は、兵站の重要物資の一つである燃料を使って盗んでいる。現地で消費する目的ではなく、多分「経済犯」。

 

 現実に穀物だけではなく、高価な農業機械も持ち去っていると言われる。中にはチェチェンまで持っていかれた機器もあるらしい。なぜそれが分かるかというと、建設機械を始めとしてこの種の機器にはGPSを付けるのが当たり前になっているから。建設機械メーカーでは機械の位置を把握し、かけ離れたところにあればユーザーに「盗まれていませんか」と警告するサービス(!)をしているところもある。

 

 本来兵士は戦闘が仕事、戦闘継続に必要なら略奪もやむを得ない場合があるが、このケースでは盗賊団となっている。穀物・機械のほか、行方不明の住民も「略奪」されてしまっているのではないかと危惧される。チェチェンの傭兵たちに「あまり給料は出せないが、略奪してもいいよ」と言って、リクルートしているのではと考えてしまった。もしそうなら、ロシア軍のフトコロ事情は、相当お寒いことになる。

 

 ちなみに盗まれた農業機械は、リモートで稼動できなくすることができて、せっかくチェチェンに届いても役に立たないそうです。輸送コストをかけただけ、骨折り損でしたね。