Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル課税の遅れはいいとして

 先週G20財務大臣会合があったが、期待された共同声明は出されなかった。世界的なインフレ、食糧危機などに対して、大国の一致団結は得られなかったことになる。その代わりに・・・といっては何だが「巨大ITなどに課すデジタル課税は、2023年前半までに多国間条約への署名をする」との発表があった。

 

デジタル課税、発効1年遅れ G20「23年に条約署名を」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 あまり反対する国のない「巨大IT叩き」なら一致点かと思いきや、これでも1年遅れなのだという。そもそも「デジタル課税」と称しているが、事実上の「グローバル企業課税」。僕らの(少なくとも日米産業界の)目差してきた「Global & Digital」に対する抵抗勢力のような税制だ。

 

 仮に多国間条約が発効しても、グローバル企業側にも対抗策もある。200以上もある国の全てが条約に加盟するわけではないから、非加盟国に本社機能などを移してしまえばいいだろう。税制や治安、政治的安定に問題がない国を選べばいいし、もし必要なら今回破綻したスリランカのような国をグローバル企業連合が「買収」して、みんなで本社を移せばいい・・・などと過激なことを考えてしまった。

 

    

 

 それにしてもG20という場に意味があるのかが、一層分からなくなった。G7がすでに「主要7ヵ国」ではないことは明確だが、「BRICS」が世界を主導できるほどでもない。国連など「WxO」機関の機能不全も自明だし、今後世界はどうなるのだろうか?

 

 「COVID-19」感染拡大のせいもあって、昨年の世界人口の増加は1%以下だったという。中国の人口増ボーナス期は終わり、インドが早々に人口で首位に立つ。G7対中露という対立構造では、インドを巡った綱引きがあり、さまざまな国際関係会議が開かれている。なんとなく21世紀版の「会議は踊るかな」と思った。

 

 少なくともインドは、デジタル経済の中では「G7側」にいる。中露の「スプリンターネット」ではなく、開かれたインターネットを利用しているからだ。もう20年以上前だろうか、Googleは「世界政府が必要なものは、すべてGoogleが提供できる」と言った。

 

 今こそこちら側のインターネット世界だけでもいいから、デジタル世界政府を作れませんかね。必要最小限の物理的な土地は、グローバル企業連合が買い取った国でいいでしょう。