Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インボイス制度導入にあたり

 2年後の2023年10月から、インボイス(適格請求書等保存方式)制度が始まる。インボイスとは製品やサービスを売る事業者が、買う事業者に対して消費税の税額や税率を示して発行する請求書である。二重課税にならないように、売り上げにかかる消費税額から仕入れや経費に掛かる消費税額を差し引く「税額控除」が正しいことを示すエビデンスである。

 

 消費税という税制の適正な運用には欠かせない制度で欧州では常識になっているのに、日本での導入が遅れていたのには訳がある。消費税(売上税などいろいろな呼称があった)の議案を持ち出して内閣が吹き飛んだこともあるほど、野党や一部メディアの抵抗は激しいものがあった。そのため「免税措置」を入れなくては、導入できなかったのだ。

 

 今でも小規模・零細事業者は「免税」されていて、消費税納入義務がない。一方これらの事業者から製品やサービスを受けた人は消費税を払うから、事業者はその分の消費税をポケットに入れることができる。これが「益税」という困った現象。

 

    f:id:nicky-akira:20210921073435j:plain

 

 インボイス導入後も「免税」制度は残るのだが、インボイス制度に入らないで「免税事業者」のままだと、発注元の事業者は免税事業者から購入した製品・サービス等の分の消費税控除が出来なくなってしまう。そんな不利を購買部門や財務部門が甘受するはずがなく、発注をインボイス導入事業者に切り替えるだろう。だから「課税事業者」にならざるを得ないのだが、これがフリーランスなどには大きな負担になるとの記事もある。

 

ウーバーイーツ配達員男性が絶望…「インボイス制度」で「手取り収入」はこんなに激減する(本多 慎一) | 現代ビジネス | 講談社(1/5) (ismedia.jp)

 

 だから野党などは「インボイス導入延期」を主張しているらしいが、やはり「益税」問題を是正するためにも導入して欲しいものだ。フリーランスなどに不利だというのなら、零細事業者まで含めた「電子インボイスシステム」を導入して経費を削減するという手段もあるのではないだろうか。

 

 大手会計ソフトベンダーらからなる「電子インボイス協議会」が標準仕様を「デジタル庁」に提案したともいう。標準化だけでなく、スマホがあれば簡単に使える<クラウド型電子インボイス>やフリーランス用の会計システムを普及させてくれればありがたい。

 

 中小企業庁の「IT導入助成金」も使えるかもしれませんしね。