Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

経済安全保障の意味(後編)

 一方、こちらの記事はややネガティブ。

 

岸田新政権の「経済安全保障」は危険な先走り 定義が曖昧、所轄大臣は屋上屋、もっと腰を据えた政策を(1/10) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

 

 「経済安全保障とは経済活動を装い我が国の安全保障を弱体化しようとする相手国の行為を阻止・破壊すること」だとして、防御的な政策ばかりではないとしている。ただ、ここに挙げられている3つの体制強化はリーズナブルなものだ。

 

1)経済インテリジェンス能力・体制の強化

2)投資審査体制の強化

3)土地等利用状態調査のための体制強化

 

 加えて16項目の「経済安全保障」の目標が挙げられている。

 

1)資源・エネルギーの確保 *

2)海洋開発

3)食糧安全保障の強化 *

4)金融インフラの整備 *

5)情報通信インフラの整備 *

6)宇宙開発

7)サイバーセキュリティの強化 *

8)リアルデータの利活用推進

9)サプライチェーンの多元化・強靭化 *

10)我が国の技術優越の確保・維持 △

11)イノベーション力の向上

12)土地取引

13)大規模感染症への対策 *

14)インフラ輸出

15)国際機関を通じたルール形成への関与 △

16)経済インテリジェンス能力の強化 *

 

    f:id:nicky-akira:20211012121835j:plain

 

 「食糧」が入っているのはいいとして、「インフラ輸出」ってどう絡むんだっけ?発展途上国に日本の高品質インフラを輸出してビジネスにするとともに、当該国との関係を緊密にするという意味だろうか?「安全保障」というには回り道すぎるような気もして、なんとなく「予算付けてくださいね」リストに見えなくもない。

 

 僕がこの中から「経済安全保障項目」を選ぶとすれば、*印をつけた8つ。それに準じるものとして△をつけた2つだろうか。選んだ基準は、かつて企業の事業継続計画を作ってきた経験から、企業を日本社会に置き換えてみてのもの。これまで「経済」と「安全保障」は別に議論されてきたが、本来不可分なことは確か。80年前の日本は、資源確保のために軍事力に訴える愚を犯している。改めて「経済安全保障」の議論を始めるにあたり、その定義や範囲は明示して、多くの人に分かりやすくする必要はあろう。

 

 本件については、もっと多くの人の意見を聞きたいですね。