中国を念頭に、一昨年くらいから始まった「経済安全保障」の議論。自民党の政策調査会が「経済安全保障戦略策定に向けて」の中で、資源・エネルギーの確保から経済インテルジェンス能力強化まで16項目を挙げて提言していた。中には「インフラ輸出」という項目もあって、「これがなぜ経済安全保障なの?」と疑問に思った。その議論については、
経済安全保障の意味(前編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
以降、何度かご紹介してきた。岸田内閣になって小林鷹之議員が担当大臣に就き、本格的な議論が始まったが、半導体産業に注目が集まるなどさらに疑問も湧いた。
経済安保上の半導体産業 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
今年になって、経済安全保障推進法案の内容が明らかになり、
・官民協力による技術基盤確保
・サプライチェーンの強化
・基幹インフラの事前審査
・特許の非公開
の4本柱があることが分かった。個々には分からなくはないのだが、どうしても全体像が掴めない。するとあるところで、有識者が登壇する「経済安全保障とサイバーセキュリティ」というパネルディスカッションがあるというので聴いてみた。
有識者は、こんな人たち。
・安全保障が専門の大学教授
・米国企業のデジタル政策責任者
・サイバー分野を取材している記者
複数の視点からいろいろな情報が得られたのだが、僕なりに整理してみた。経済安全保障の本来の意味は、官民協力して技術力を高め経済力を持って国の安全保障力を確保すること。しかし、経済のための安全保障政策と誤解されることも多い。「経済による」が本筋で、「経済のための」は異筋ということらしい。この位置づけが、経済と安全保障という結びつきにくい言葉を並べた意味。もちろん両者のバランスをどうとるかが、実効あるものに出来るかのポイントだという。
あるパネリストは「法案を読んだが国の安全保障戦略が見えてこない。個別の産業政策の集まりのような気がする」と発言、その流れで「本来、Economic Statecraftの話でなければいけないのにね」ともいった。その言葉、聞きなれないもので聞き取れなかったし、良くわからなかった。
<続く>