アゼルバイジャン航空のグロズヌイ行きのフライトが墜落し、38人の犠牲者が出た。29名の生存者がいたことが、唯一の救いだ。当初原因はバードストライクと言われていたが、それならエンジンが発火もしくは停止して墜落に至ったはず。水平舵や垂直舵に損傷があり、機体にも無数の穴が開いて1時間ほど飛行したというのだから、恐らくは対空ミサイルにやられたものだ。
アゼルバイジャン機墜落事故、ロシア防空システムで機体損傷-報道 - Bloomberg
グロズヌイはカスピ海西岸の重要都市で、石油の取引港でもある。10月にはグロズヌイで大規模爆発もあった(*1)。このところウクライナの長距離兵器がロシアの深部にまで攻撃をかけているので、ロシア側の防空システムが民間航空機を誤認して攻撃したのだろう。
ミサイルは直撃ではなく、旅客機の付近で爆発し無数の破片を飛び散らせた。それにより舵や機体に損傷を受けたものと思われる。操縦がままならない状態で機長はカスピ海を横断し、カザフスタンの空港に不時着しようとして墜落した。
今年の初め、ロンドン出張の帰路はこのあたりを飛んだ(*1)。各国の民間機のルートにも影響する事件である。すでにイスラエルがロシア便を止めたとの報道もある。思えば旧ソ連&ロシアは、民間航空機を過去に2度撃墜している。
・1983年 アンカレッジから金浦に向かっていた大韓航空007便が、サハリン沖で撃墜さる
・2014年 アムステルダムからクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空17便が、ドネツク上空で撃墜される
後者はウクライナの攻撃との説もあったが、ロシアに支援された新ロシア派武装勢力によるものとされている。いずれも緊張が高まった時に起きた事件で、民間機と軍用機を誤認したもの。今回のアゼルバイジャン航空機の事件により、ロシア(イスラエルも?)州への航路設定は、ますます難しくなるだろう。
幸い機体のブラックボックスや生存者は、ロシアと距離を置き始めているカザフスタンに収容されました。プーチン先生が隠し通そうとしても、今回は無理ではないでしょうか?
*1:グロズヌイ「巨大爆発」の瞬間映像...「戦時」の不安定な状況下で、チェチェン周辺では暴力事件が多発|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト