インボイスを巡る論争が徐々に広がりを見せている。国会の予算委員会でも、インボイス制度中止を求める野党の追及があった。先日このブログで、僕は仕入れ値なんてほとんどゼロだからインボイス登録はやめたことを紹介した。すると知り合いの会計士から「お前、微々たるものだろうが講演料など貰っているのなら、税制上はクリエーターとかライターの区分だ。5類の区分では、見なし仕入れ率は50%。税込み11万円の売上げだとすれば、消費税分1万円の50%、5,000円は納税義務がある」と叱られた。
「えー、じゃ僕も益税ネコババ容疑者なの」と驚いて、状況をもう一度調べてみた。有識者によると、現在免税事業者が得ている「本来なら納税すべきだが、手続き問題などで事業者の手元に残ることを容認されている金」について、2つの考え方があるという。
A)会社員などで直接関係がないか、生活に余裕がある人
益税をポケットに入れるのは怪しからん、給与所得者は収入を全部把握され、納税させられているというのに。
B)課税事業者となるか悩んでいる、特にギリギリの収入で暮らしている人
報酬が税込みかどうかは意識したことがない。精一杯の安い対価で働いており、正当な報酬の一部だと思っている。
これでは、議論はいつまでたっても平行線である。なんとか決着をつけるため、「聞く力」の岸田政権は2つの緩和措置を提案した。
2)施行後3年間は、小規模事業者は売上税額の20%が上限
1)は10万円の購入を1万円×10式にするような、手間を増やすだけのことになりそうだし、2)は3年たったら上限撤廃である。Aの人から見れば「何を甘いことを」だし、Bの人からは「おためごかしだ」と批判されかねない。
米国などで「市民の分断」が指摘されていますが、日本もインボイス制度で分断が起きてしまったようです。はて・・・。