Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

緊急事態条項の議論(後編)

 竹中教授が常日頃仰るように「日本型組織は検証が苦手」であるが、今回の「COVID-19」騒ぎは成るべく早く検証のための組織を立ち上げる必要があろう。

 

マキャベリの言うように、真に有能な者だけを集め、

・強制力を持った調査権限を与え、

・情報を公開して開かれた議論をして結論を得る。

 

 ことを望みたい。その結論から、憲法に緊急事態条項があり、関連法規が整っていた場合の被害状況を算出することにつなげられよう。今回の「COVID-19」対策で多くの有識者が指摘する問題は、

 

1)PCR検査拡充ができなかった

2)対応ベッド数を増やせなかった

3)保健所の体制が不十分だった

 

 などである。要するに全国的なパンデミックに対応する体制がとれず、多くの医療機関も「平常時の体制」のままでいることに集約されよう。一部医療体制がひっ迫したため、飲食店はもちろんイベント・スポーツ・文化関係など「人が行きたそうなところ」まで全部閉めろという施策を「お願い」することになった。その意味で人災という意見は正しいと思う。

 

    f:id:nicky-akira:20210504095627j:plain

 

 先日の記事で「鉄のトライアングル」(医師会・厚労省族議員)に責任があると申しあげたのだが、彼らも平常時の体制維持のために懸命になっていることは確かだ。医師会の中川会長はNHKの番組でロックダウンを要望したが、それは医療の平常体制を守るために、社会全体を非常事態にしようとしているように聞こえた。田村大臣が「ご存じのように日本ではロックダウンは出来ません」とたしなめていた。

 

 憲法上の非常事態が規定されていれば、

 

・事前に各種の「非常事態」を想定したシミュレーションや訓練ができる。

・シナリオを変えて繰り返すことで、制度整備や準備のための予算配分が可能。

 

 になったはず。例えば保健所の統廃合・縮小は、平常時のことを考えれば行革として当然だったろう。しかし非常時を想定したコンテンジェンシープランがあれば、別の考え方もあったかもしれない。パンデミック対応のベッド不足も、通常割り増しの診療報酬があり、非常時は優先転用できるようなベッドで対応できたかもしれない。

 

 官僚が減点主義なのはやむを得ないことですが、非常時は「加点主義」になるぞとの意識改革もできるかもしれません。そんな開かれた議論を、なるべく早くお願いしたいものです。鉄は熱いうちに・・・です。