Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

緊急事態条項の議論(前編)

 3日の憲法記念日NHKも「憲法とコロナ禍での人権の制限」に関する特集番組を放映した。1日未明の「朝まで生TV」も、視点は違うが「COVID-19」対策と人権問題を取り上げていた。「COVID-19」対策が上手くいったとされる国は、ある種の強権的な制限を行い蔓延を防いだと言われている。日本には憲法に緊急事態条項がなく、政府・自治体は「お願いしかできず、自粛に頼るよりなかった」という。

 

 その結果改憲派の中で、緊急事態条項を入れた改憲を行い、次のパンデミックに備えようという意見が出てきた。これまで「改憲」と聞いてもピンとこなかった一般市民に具体的な課題を提示して議論を活性化しようというもので、これは理解できる。憲法9条下での自衛隊の明記のように国論を2分しがちなテーマではないだけに、フェアな議論ができるように思う。もともと悪名高い「日本会議」も改憲項目の筆頭に挙げているのが緊急事態条項、自衛隊明記は3番目である。

 

憲法改正のポイント - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

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 ところが立憲民主党枝野代表らのように「コロナ騒ぎに乗じた安易な改憲を許さない」との意見もある。日本の「COVID-19」対策失敗は政府の無能無策によるもので、憲法のせいにするなということ。代表的な意見が下記である。

 

「コロナ危機」に乗じた改憲を許すな | 藤崎剛人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

 筆者は「現行憲法下でもロックダウン(に近いこと)は可能だった。やる気がなかっただけだ」という。「やる気がなかった」ことについては、僕もそうだと思う。では誰がやる気になれば良かったのか?「朝ナマ」で野党議員が発言していたように「減点主義」の官僚が、法規に無いことをするはずはない。だからやる気になる必要があったのは政治家である。

 

 しかし彼らがやろうとしても、官僚がなんとしてもさせなかっただろうことも明らかである。憲法以下のあらゆる法律に精通している官僚の抵抗を押し切ってロックダウンを敢行するとしたら、それはクーデターに近いようなものにならざるを得なかっただろう。発展途上国で時々起きる「軍が官邸を制圧、首相を拘禁し、憲法を停止。全土に戒厳令を敷く」というようなものだ。

 

<続く>