Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

人材の融通・・・そのために(後編)

 「目詰まりを起こしている」ネックは、保健所であり保健師の業務であることを前編で述べた。平時はともかく、非常時において保健所業務・保健師業務をどう考えるかを日ごろ徹底していなかったのではないかと、僕は疑っている。確かに「行革」で地域の保健所は統廃合され、保健師従事者も減った。しかし平時ではそれで業務は廻っていたはずで、ひょっとしたらもう一段の合理化もあり得たかもしれない。

 

 考え直すべきは資格制度だ。これは何も保健師に限らない、医師も弁護士も教師も「本当にその資格がないと、当該業務が出来ないのか」をゼロベースで見直す必要があると思う。例えば僕は大学時代に教職課程を取らず、教育実習も受けていない。だから初等中等教育の教員職には就けない。しかし、大学では非常勤講師も客員教授も務めることができた。

 

 資格制度というのは、サービスを受ける側に「この人は十分な知識と経験を持っている」と安心させるためのもの、サービスのルール等についての更新が必要な時は当局からしかるべきUpdateができる対象を決めておくためのものである。さらにサービスする資格者にある程度の就労機会を与えることも目的のひとつだ。

 

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 特に最後の点に固執してしまうと、当該サービスは一部利益集団の囲い込むところになり外部から閉ざされたものになってしまうリスクを持っている。以前紹介したように遠隔診療などのデジタル化に医師会は反対、しかし専門医の少ない「読影」などは平然と行われていた。要は需給の関係なのである。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/04/07/060000

 

 前編で引用した記事の提案に加えて、厚生労働省含めて「保健師の仕事の再定義」をお願いしたい。保健師でなくてはならない業務に絞り、それ以外の事(感染者のトレースなど)は無資格者でもできるようにしたい。その時、保健師の雇用を守るという視点に立たないで欲しいと思う。そうでないと保健師の平時の雇用を守りながら非常時に対応するため、

 

PCR検査を増やしたら保健所がもたない

・「COVID-19」を指定感染症から外して欲しい

 

 などという意見が横行し、感染症対策の一元化を保健所で図るコンセプトが崩れてしまいかねませんよ。