Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

愛煙家の最後の聖地

 僕は生来吸わないのだからいいのだが、愛煙家にとっては厳しい社会になりつつある。社会人になったばかりの頃は、オフィスの机でタバコを吸うのは当たり前だった。上司の主任は、仕事で行き詰まったり交渉相手に怒ると立て続けに吸うのである。僕が「隣の僕らも1/10本すったことになるのですよ」と節煙を求めると、「それなら1/10のタバコ代を払え」と言われてしまった。 

 

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 もうひとりの古参の主任は若いものが「お先に失礼します」と灰皿をもって帰ろうとすると、灰皿の中の吸い殻の本数を数え、本数の2~3倍の係数をかけて「残業時間から引いておく」と言った。1本あたり2~3分は、脳が働かず仕事をしていたと認められないと言う事である。
 
 いつごろからかオフィス内では禁煙、喫煙室が出来てそこが(僕らから見ると)秘密の情報交換所になったりした。家庭でも室内で吸えず、ベランダで吸う「ホタル族」なるものも生れてきた。飛行機はずいぶん前に全面禁煙だし、新幹線の喫煙車両もめったに見られない。
 
 先日虎ノ門のある会社を訪問することになり、場所を聞いたら特許庁の向かいだと言う。ああ米国大使館の入り口だなと理解して出かけた。虎ノ門ヒルズマッカーサー道路が出来て、新橋駅からの流れが変わったところだ。
 
 30余階建てのビルに着いたら、外に比較的大きな喫煙スペースがある。ベンチもあり10人あまりの人がスマホを見たり、PCを叩きながらタバコを吸っている。そして建物内に入って驚いた。時節柄クリスマス飾りが迎えてくれたのだが、ここにも壁沿いに多くの喫煙スペースがあってロビーをぐるりと囲んでいるほどだ。

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 中には最近はやりの「加熱式タバコ」を吸っている人もいるが、大半は旧来型の紫煙を吹き出すものを吸っておられる。形ばかりロープで仕切られてはいるものの、長椅子も立派だし寒風にさらされないのが何よりい。タバコを吸っている人たちの表情が、いかにも柔らかい。ここはまるで愛煙家のためのビルのようだ。珍しいビルだなと思って、訪問先の住所を確認したら・・・JT(日本たばこ産業)ビルだった。
 
 合流した案内役の人に聞くと、PCを持ち込んでほぼ一日過ごすこのビルの従業員もいるそうです。まさにここは「愛煙家の最後の聖地」ですね。