Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

あくとり3年、酌8年

 僕が社会人になった40年ほど前、まだ高度成長期の甘い余韻が漂っていて、その上もうじきバブルが来ようかという頃だった。今にして思うとコンプライアンス上どうかと感じるのだが、大きな会社ゆえに他の事業所の人や本社の人がやってくると、食事を出す、お酒も出すというのが当たり前だった。

 
 僕は会社の中で、転職こそしていないが多くの種類の仕事に就いた。一時期、ある田舎の事業所の外交部門にいたことがある。外交と言っても社内の他事業所との調整や標準化、共同企画などをする部署である。当然東京に来ることも多くそこでご馳走になったりするものだから、田舎まで足を運んでもらった時には逆にご馳走することもある。

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 それゆえこの部門はお酒が呑めないと辛いし、上司/先輩から酒席の教育も受けることになる。僕は学生時代から親父と酒を呑むことが多く、親父の会社の人たちと呑むこともあったのでそこそこ酒席の礼儀は心得ていた。それでも、この職場はある意味「接待のセミプロ」である。いろいろ教えられたことがある。
 
 僕らはそういう礼儀のことを、「あくとり3年、酌8年、太鼓を持つまで13年」と自虐的に言っていた。冬は鍋物が多くなる。「あくもダシのうち」という思い切りもあるのだが、お客様相手ではあくは取り除くのが望ましい。これが出来るようになるのに3年研鑽を積む必要があると言う事。日本酒が中心だったので、お酌のノウハウも必要だ。相手が猪口を二度目に持ったら、お酌をするタイミング。手首の角度にもうるさい人もいる。これをこなせるのは、8年ほどかかるらしい。
 
 最後の「太鼓持ち」に成れた人をあまり知らないが、僕自身も12年はこの部署にいなかった。まあそれがよかったかどうかは、神のみぞ知るということです。