新政権の活動が徐々に加速してきて、先週には「デジタル庁設置の基本方針」を年内に策定するよう総理から指示があった。多くの識者は、行政だけではなく社会全体のデジタル化推進に一元化された「強力な司令塔」が必要だと知っているのだが、これには「強力な抵抗勢力」も存在する。
・現時点で、デジタル政策に関わっている府省
・政府が強力になることが困る、野党・メディア
前者は霞ヶ関の縄張り争いだから、今回のような練達の政権なら対処できるかもしれない。問題は後者だ。政府に情報が集中して個人の権利侵害が起き、強権的な国家体制に傾くと一部メディアが煽る。インタビューを受ける町の人も「え~、マイナンバーカードに紐づけられるのってぇ不安」などと仰る。一方でご自身のSNSでは、個人情報漏れ放題かもしれないのに。
閑話休題、そのデジタル庁だが時限組織にするという報道があった。これは困ったことで、デジタル化を担当する組織は今後強化されることこそあれ、役割を終えることはあり得ない。だから恒久化して、あるタイミングでデジタル省へ転換すべきだと僕は思っている。すると経団連が「デジタル庁創設に向けた緊急提言」を出したと聞いた。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/083.html
・国・地方を通じたデジタル政策を一元的に企画立案する内閣デジタル局を内閣官房に
・中央省庁システムおよび地方公共団体に提供するシステムの企画立案・開発等を一元的に行うデジタル庁を内閣府に
各々設置せよというところがポイント。一般的にテンポラリな組織は内閣官房に、恒久的な組織は内閣府に置くときいている。まあ今は官房も内閣府も組織乱立気味だが・・・。実行組織であるデジタル庁を内閣府に置いて恒久化するというのは理解できる。現行のIT総合戦略本部だって内閣官房にあるのだから、産業界としては不満がある。政府が大きな方針(恒久orテンポラリ)を出す前に、経団連がクギを刺した形だろう。
分からなかったのは、官房に置くというデジタル局。これ何?って聞くと、他の府省との縄張り争いに優位に立つために司令塔だけは「官房」に置くということ。実行部隊は「府」がいいと言っていた。政府の中でも水面下での暗闘が続いているだろう「デジタル庁」、産業界からの意見も容れて恒久組織にして欲しいと僕は思います。