Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

シックスアイズへの道(前編)

 最近、ファイブアイズという言葉を耳にすることが多くなった。どちらかというとエスピオナージや軍事スリラーを読んで覚えた言葉だが、まさか現実の日本でこれが語られるようになるとは思っていなかった。言葉の意味については、下記日経の記事が適正かつ(普通の経済人には)必要十分である。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO62677940U0A810C2EA2000/

 

 第二次世界大戦の後、冷戦期に入る前後に、それまでホワイトハウスダウニング街10番地を結んでいた諜報/防諜ネットワークが公式に「UKUSA協定」としてOpenになり、後に旧英連邦(Commonwells)のカナダ・オーストラリア・ニュージーランドが加わって5ヵ国になり「5 Eyes」という呼称になった。イアン・フレミングの007シリーズに「Your Eyes Only」という作品があるが、要するにこの5ヵ国だけで共有する情報網という意味だ。

 

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 非公式にはこれを核に、オランダやフランスなどを入れた固まりがあり、さらに外側にドイツやイタリアを入れた層があると伝えられる。日本がどの位置に存在するかは不明だが、ドイツらの層に入っていれば「御の字」だろう。むしろ韓国はドイツの層にあって、日本はさらにその外側という可能性もある。

 

 この順番というのは、最初の5ヵ国は第二次世界大戦で勝利した時の同盟国。その外側は主力ではなかったが大戦で連合国側だった国、その外側は第二次世界大戦では枢軸側だったが後の東西冷戦では西側だった国・・・という順番になっている。もちろん、ソ連や中国も連合国側だったのだが、この中には入れてもらえない。

 

 ベトナム戦争に参戦し暴れまわった韓国や、いまや米中対立の最前線である台湾は、ひょっとすると外殻には入っているかもしれない。情報というのは実質的に安全保障上のものだから、軍事協力度の強さが核に近いかどうかの基準になる。

 

 世界有数の軍事費を使っていて、米軍の駐留も許してる日本は確かに同盟国なのだが、種々の事情があってこの仲間には入れていないと僕は思っていた。しかしこのところ河野防衛大臣が「実質的にシックスアイズだ」と発言するなど変化がみられる。驚いたのは、人民網日本語版が「日本がファイブアイズに繰り返し参加を求めている」と警戒する記事を掲載したのだ。

 

<続く>