Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

規制改革推進室の活動報告

 とかく行政手続きというのは面倒だ。今回の「COVID-19」関連のいろいろな騒動を見ていると、結局一番デジタル活用や合理化が遅れているのは行政部門だということが明白になった。「電子行政」なるものに30年以上関わってきた僕としては、残念しごくである。日経の記事によるとコロナ禍を契機にオンライン化のムーブメントは起きたものの、オンライン完結できるものは1割にも満たないという。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60473710X10C20A6MM8000/

 

 僕自身は、個人でパスポートを貰いに行くなどの手続きは別にして、企業の中で行政手続きを行う立場になったことはない。だから実感がわかないのだが、産業界は政府にオンライン化を含む規制改革要望を出し続けてきたという。

 

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 その要望を受けて、内閣府の規制改革推進室は各府省に改善を働きかけている。この日はその中間報告があるというので、ビデオ会議につないでみた。すると参加者は優に100人を超えていて、関心の強さを伺わせる。期待をして内閣府の「コロナウイルス感染症対策としての規制・制度の見直し」と題した説明を聞き始めたのだが・・・。

 

 内容はいろいろな府省に「書面・対面・ハンコの見直し」をさせているということに終始した。産業界からの要望がその種の具体的なことに限定されていたのが原因だろうが、(頭の固い)法務省を議論に引っ張り出せたなど、内閣府自画自賛に留まっている印象だった。コロナ禍で時限的に進んでしまったオンライン教育や診療などを、今後どうしていくのかという意見表明もなし。現時点で消極的な府省の案件を今後も「粘り強く」進める程度の話だった。
 
 この「規制改革」は、対症療法に徹している印象である。いまある手続きをそのままデジタル化しようとしているので、分野別にバラバラな対応になりかねない。例えば本人認証の手段がマイナンバーカードであったり電子署名だったり個別に出てくるようでは個人も組織も困ってしまう。本来なら、銀行カードも社員証も場合によっては部屋のカギも、サイバー空間での本人認証一本にできるはずだ。
 
 戦術的な「規制改革」を否定するものではないが、それだけでは十分ではない。もっと戦略的な構造改革論をどこかでやってくれませんかね。