Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米中対立がもたらすWxOの限界

 WHOの総会は、とても無事に済んだという状況ではあるまい。トランプ先生が資金拠出を一時的に停止した状態で始まったし、台湾の参加を巡って激しい対立もあったからだ。次世代通信規格(5G)を巡る米中対立は、台湾の半導体大手TSMCHuaweiへの部品提供をやめ、米国に工場を建設するという現象を生んでいる。台湾への中国からのサイバー攻撃も多いというし、「COVID-19の優等生」たる台湾の去就はWHOを超えた領域で激しくなっている。

 

 結局「途上国支援に20憶ドル」を出した中国に配慮して、WHOテドロス事務局長は台湾のオブザーバー参加を認めなかった。ますます中国よりだとして、米国だけではなく欧州などからも非難が集まるだろう。普段は米中間であいまいな態度をとっている日本政府も、今回は毅然としていた。茂木外相が中国を名指しで非難したのに続き、国内では結構叩かれている加藤厚労大臣も、台湾の参加を認めるべきだったと発言している。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200519/k10012435671000.html

 

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 トランプ先生はもっとヒートアップ、WHO脱退まで口にし始めた。「COVID-19」感染拡大は、先進国で第一波は収まりつつあるものの、途上国ではこれからがピーク、さらに第二波以降の襲来も予想される。終息には年単位の国際協力が必要なのだが、その中核たるべきWHOが機能を維持できないかもしれない。少なくとも、辞任要求の署名が100万単位で集まったテドロス氏については、責任をとって辞職いただいた方がいいだろう。

 

 今は「COVID-19」に世界の注目が集まっているからWHOの議論が多いのだが、実は世界の貿易促進を担っているWTOも混乱している。任期を1年余してアゼベド事務局長が8月で辞任するという。後任は見えていない。WTO最高裁判所にあたる上級委員会の委員が定数を満たせず、非機能状態にあることは昨年もご紹介した。アゼベド事務局長も、この状態を打破する望みを持てなくなったのだろう。

 

 ホワイトハウスにいたグローバリズム主義者たちはトランプ政権では生き残れず、国連含めたWxOへの米国の協力は激減しているとのこと。しばらくグローバリズムはなりを潜めるのでしょうか?それとも政府と無関係なサイバー空間で(勝手に)増殖していくのでしょうか?