Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ド・ゴールの誇り

 第二次大戦であっけなく敗れ去った陸軍大国フランス。今回は、その戦車部隊を紹介したい。第一次大戦で勝利はしたもののおびただしい犠牲者を出したため、国内には「二度と戦争をしない」という空気が満ちていた。かといって、軍備を怠るわけではない。抑止力あっての平和であることは、多くの国民が理解していた。
 
 では、どのような軍備をするのかで議論が沸騰。結局仮想敵国であるドイツとの国境に、長い要塞線を築くことになった。いわゆる「マジノ線」である。軍事予算のかなりの部分が、この建設に充てられた。その分、機動戦力たる戦車をはじめとするAFVの予算は十分ではなかった。

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 開戦1年未満で降服してしまったため、その後の改良は全くと言っていいほどない。開戦時準備されていた車両を見ていこう。右から順に、
 
ルノーFT-17戦車
 兵装:短砲身75mm榴弾砲、同軸機関銃(火力4)
 装甲は極めて薄い(正面1・側面他0)
 移動速度:5ヘクス/ターン
 
 先の大戦の遺物に、75mm砲を積んだもの。これは榴弾砲であり、徹甲弾は撃てない。もともと75mm砲を載せることには無理があり、砲弾搭載数も少ない(丸付きのB11という数値は、サイコロ2個振って11以上の目が出たら弾切れになることを示している)。おそらく活躍することはなかっただろう。
 
◆R35戦車
 兵装:短砲身37mm砲、同軸機関銃(火力2)
 装甲は当時としては、まずまず(正面4・側面他4)
 移動速度:8ヘクス/ターン
 
 同時期の各国の戦車(例:97式中戦車)と比較すると、装甲は優位だが速度が不十分である。これは、フランス軍が機動戦を意識せず、陣地戦にとらわれていたことの顕れと思う。加えて、短砲身37mm砲ではいかにも非力。
 
◆B1-bis戦車
 兵装:短砲身75mm砲、47mm砲、車体機関銃(火力1)、同軸機関銃(火力2)
 装甲は厚い(正面8・側面他6)
 移動速度:11ヘクス/ターン
 
 重戦車である。車体に取り付けられているので正面しか撃てない75mm砲は、敵の陣地など固定目標を狙うためのもの。対戦車戦では、回転砲塔上の47mm砲を使うことになっていた。装甲が厚い割には速度はまずまず。しかし強力なエンジンを積んだせいか、大きな図体をしている。もうひとつの欠点は(日本軍戦車の項で指摘したが)回転砲塔が一人用で、車長が砲手と装填手を兼務していること。砲塔の回転速度も遅く、ちょこまかと動き回る目標を捉えるのは難しい。やはり機動戦には向いていない。
 
◆ソミュアS35戦車
 兵装:47mm砲、同軸機関銃(火力2)
 装甲はまずまず(正面6・側面他4)
 移動速度13ヘクス/ターン
 
 第二次大戦におけるフランス軍の最良戦車。上記一人用砲塔の問題は残っているが、対戦車戦を十分に勝ち抜ける仕様になっている。
 
 のちにフランス大統領になるシャルル・ド・ゴール大佐は、ドイツのグーデリアン将軍らと並んで戦車を用いた機動戦、電撃戦を主張していた。彼は大戦初期、S35戦車隊を指揮してドイツ軍と互角に渡り合った。その後国防次官・陸軍次官・准将に昇進して前線から離れたが、フランス降伏後の自由フランス軍を率いたことは、周知の通りである。