Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

第四の空間の戦争

 久しぶりに、グローバルビジネスをしている人たちの会合に参加した。昨今僕の出る会合は政策がらみのものが多く、実ビジネスをしている人たちとはどうしても疎遠になってしまう。今日は、そのGAPを埋めるいい機会だと思っての参加である。

 

 集まった人たちの半分以上は、デジタル系のビジネスだけではない人たち。いわゆる「質の高いインフラ輸出」に関わったり、海外企業と組んで第三国市場開拓をしている。原子力やCO2で逆風の強い石炭火力など、エネルギー分野に携わる人も多い。話題の多くは、米中対立の影響だ。

 

 ・政府間はともかく中国人は米国にいっぱいいる。交流は衰えていない。

 ・5Gなど特殊なものを除けば、米中貿易量はそんなに減っていない。

 ・中国の「一帯一路」は欧州の港を確保するなど着実に進んでいる。

 

 確かに米中対立は問題だが、実ビジネスは政治事情とは別に清々と進めるとの意見が多い。米国政府に「Show the Flag、中国と付き合うな」と言われるのがリスクと思っている。GDPRなどデジタル系の話題も出たのだが、しばらく僕は口を挟まなかった。どう言えばわかってもらえるのか、説明の仕方について迷っていたのだ。

 

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 会合の時間が2/3を過ぎたところで、やっとコメントするタイミングが来た。

 

 「経営資源はヒト・モノ・カネと情報の4つです。皆さんのおっしゃっているのは全て情報以外の、交流・貿易・金融のこと。この3空間については皆さんのご意見は正しい。しかし最後の情報、サイバー空間では米中対立でも米中冷戦でもありません。すでにHot WARの段階に来ているのです」

 

 と口を切った。ある軍事専門家は、「現状の軍事行動の80%はサイバー空間で行われている」といい、ある法学者は、「サイバー空間は法律も条約もほとんどない無法地帯」と言っている。すでに宣戦布告(という制度もない)なき戦争が、サイバー空間では行われているのだ。

 

 政府関係者はもちろん、米国では産業界でも「米中戦争」であることを認識していて、5Gからの中国企業排除、「一帯一路」に対するFOIPに従った行動をしている。そのような危機感が、日本企業に乏しいのだと指摘した。確かに実ビジネスをしている人たちは忙しい。それでも、国際情勢を読み誤ってほしくはないですね。