Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米露間のサイバー対話に期待

 「COVID-19」の蔓延が収まり切らない中、先週は高齢のバイデン大統領が欧州で多くの首脳会合をこなした。大変お疲れさまでしたと、申し上げたい。G7はもちろん、欧州委員会NATOとかつての「西側」を固めてから、最後に臨んだのがジュネーブでの「米露首脳会談」。

 

 前任のトランプ先生はプーチンに何度か会っているが、ロシアゲート疑惑の中心人物でもあり「無自覚の(ロシア)工作員」との評価もあった大統領なので、核大国米露の首脳が本気で渡り合う会談というのは久しぶりだったように思う。

 

無自覚の工作員 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 トランプ政権以前となると、2016年の杭州G20の場で、オバマ大統領がプーチンを呼び止め「何をしているか分かっている。やめないとどうなっても知らないぞ」と恫喝した時が両国大統領が向かい合った最後だったように思う。オバマはこの時、ロシアからの選挙介入を含むサイバー攻撃を糾弾したのだが、プーチンは「証拠を見せろ」と反論、両者がにらみ合う写真が公開されている。

 

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 バイデン・プーチンは今年初めに新戦略兵器制限条約交渉で、オンラインで会合し制限条約を更新している。今回は初のリアル会談で、以下の項目が話し合われた。

 

軍縮の次のステップ、両国間の戦略安定対話体制構築

・(クリミアを含む)ウクライナ問題

・シリア、イラン、北極圏、ベラルーシアフガニスタンなどの紛争

・ロシアの人権問題

・選挙介入やインフラ等へのサイバー攻撃

 

 両大統領は会見後個別に記者会見し、これらについての(多少ニュアンスの違いはあるが)建設的な議論ができたと言っている。特にサイバー攻撃に関しては、

 

◇バイデン大統領

 米国の民主主義を狙う攻撃は容認しない。重要インフラ16種を提示してこれらへの攻撃を禁じるよう求めた。専門家による擬態的な協議を開始することで合意。

プーチン大統領

 専門家のレベルで協議を開始、両国の利益のための作業をする。サイバー攻撃を最も多くしているのは米国である。

 

 とコメントしている。中国政府は「中国に向けた悪意のあるコードのうち、57.4%は米国発だ」と言っているのと似たプーチン先生のコメントであり、ある意味正しいと思う。中国をこの枠組みに入れるのは難しいでしょうが、まずは一応選挙制度はあるロシアと米国のサイバー対話が重要だと思います。