Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国子会社とのIT統合リスク

 先日寺島実郎先生が米中対立関連のコメントで、「日本の貿易量は、米国より中国の方がずっと大きく、昨年も増えている」と仰っていた。経済を考えれば米国の陣営に入り中国と距離を置くのは得策ではないと、仰りたかったのような気がする。しかし僕は昨今の中国の振る舞いを見ていると、中国とのビジネスのリスクは無視できないと思う。

 

 米中対立は正直回避できないレベルまでエスカレートしていて、米国議会ソラリアム委員会などはサイバー空間での中国の脅威に対応する法案を提出している。トランプ政権がバイデン政権になっても、宥和の兆しは全くない。

 

 そんな中、ある霞ヶ関の人が僕にグチをこぼした。「中国子会社とのIT統合を進めている企業さんが目立つのですよ」という。「え?」と一瞬言葉を失った。もちろん統合といってもレベルがあるのだが、度合いが進むほど日中国境を越える(可能性のある)データの量は増えていく。「Cross Boader DATA Flow」はデジタル経済にとっての大原則だし、IT統合はやるべきだとのスタンスに僕らは立つ。しかしそこには条件があって、同じ経済圏の中でならばということ。

 

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 今の環境で日中間のデータ流通を、企業内といえど開放してしまったら、困った事態になるはずだ。中国は外国企業に対して、子会社を設置するときは中国企業との合弁を条件にしていたと記憶している。それもあって中国子会社はゆるぎのない「中国企業」だ。つまり以前に、

 

習大人のデータ政策 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)習大人のデータ政策 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 で紹介した「国家情報法」の対象になる。中国子会社にあるデータは、日本から持って行ったものでも、習大人が見ることができる。さらに特定のソフトウェア(税務関係?)をインストールさせられると、それが日本のシステムに影響してくるかもしれない。

 

 加えて中国子会社のデータを日本本社のシステムが自動的に共有した時「重要データ」が混じっていたら、「サイバーセキュリティ法」違反になってしまう。上記の記事で指摘したように、何が重要データかは当局が拡張して考えることもできる。

 

 「COVID-19」騒ぎで渡航できないからとIT統合を進めるのは、大きなリスクを抱え込むことになります。まさか御社、してませんよね。