Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

AI政策ラウンドテーブル(前編)

 米国Microsoft社の副社長が来日したので、彼女を囲んで「AI人工知能)政策ラウンドテーブル」が開催された。場所は経団連会館の一室で、仮設の同時通訳ブースが設けられて、25名ほどの「有識者」が顔を合わせた。

 

 このところ、米国を中心にMicrosoftの政策関与は激しい。いわゆるGAFAとは一線を画すように、公共政策に積極的に関わっている。GAFAももちろんロビー活動はするのだが、直接・間接を問わず自社のビジネスの道を開く目的が顕著だ。Microsoftはもう少し中長期的な視点で、デジタル社会が正しい方向に向くような活動をしていると感じている。

 

 今回のラウンドテーブルも、その一環だろう。僕自身はAIの技術はもちろんそれを取り巻く環境にも詳しくはないので、今回勉強のつもりで参加した。冒頭Microsoftからは「A Principled Approach to the Ethics of AI」という資料が説明された。AIシステムの開発・運用にあたっては、

 

 「公正、信頼、安心、プライバシー&セキュリティ、(市民の)参画」

 

 が必要で、そのためには透明性と説明責任が求められるとある。これらの言葉には異論はないのだが、僕はどうしても「Ethics:倫理」という言葉が気になった。

 

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 総務省からは、AIの関係者が共有すべき価値観に関し、5つの原則が示された。

 

 ・包摂的な成長、持続可能な開発及び幸福

 ・人間中心の価値及び公平性

 ・透明性及び説明可能性

 ・頑健性、セキュリティ及び安全性

 ・アカウンタビリティ

 

 おおむね同じことを言っているのだが、最後の項目だけなぜかカタカナだ。これは英語の「Accountability」と訳語の「説明責任」の間に微妙なニュアンスの違いがあるからだろう。あえて言えば、「説明すりゃいいだろう・・・の責任」を果たすのではなく、責任をもってちゃんと(わかるように)説明するくらいの差ではなかろうか?

 

<続く>