イスラエル支持一辺倒かとも思われた、米国バイデン政権の風向きが少し変わってきた。イスラエルの自衛権(*1)は尊重しながらも、戦争犯罪の愚を犯さないようにネタニヤフ政権をけん制し始めている。つまり、
・ハマスを徹底的に叩くのはいいとして
・ガザ地区の一般市民を巻き添えを極力少なくせよ
・人道に配慮した一時攻撃停止(Pause)も考えろ
ということ。Pauseとは、Ceasefire(停戦)とは違って、これならイスラエルも飲めるかというギリギリの提案である。ガザ市を完全に包囲したイスラエル軍は、燃料や電力の供給を断った上で、ハマスの拠点に空爆を加えて、敵をあぶりだそうとしている。ある専門家は「芝刈りから、根絶やしに方針を転換した」と言う。
実際難民キャンプの空爆跡を見ると、地下に大規模な施設がありそれを「生き埋め」にするような大型爆弾が使われたように見える。難民が必死で掘り出そうとしている映像があるが、埋まっているのが市民かテロリストかは分からない。
ガザの窮状だけではなく、ハマスが人質を惨殺したとする報道も流れ、世界中でユダヤの声、イスラムの声が上がっている。ユダヤ系の人達が、米国議会に入って抗議したケースもある。問題なのは、ユダヤ・イスラム双方へのヘイトクライム。パレスチナ系の少年やシナゴーグの理事長が刺殺され、大学等へは爆弾テロの予告が相次ぐなど欧米では騒然とした雰囲気になっている。こういう怨嗟のエネルギーが溜まると、わずかな火で大爆発が起きかねない。
日本ではデモ程度だが、とても不安な世界情勢です。ウクライナ紛争がWWⅢのきっかけとの説もありましたが、より危険なのは世界中のユダヤ・イスラム対立が火種になること。それこそがハマスの狙いなのですが・・・。
*1:あくまで対テロの自衛権で、イスラエル正規軍とハマスでは戦力が違い過ぎて、国際慣行でいう一般的な(国対国の)自衛権ではない。