Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

反米は同じでも、中露の違い

 9月は、Apple社が”iPhone”の新作を発表する時期。一般的にはそれに乗って同社の株価が上昇するのだが、今年は発表前に中国政府に先手を打たれて株価が下がってしまった。それは、中国政府が公務員の業務上での”iPhone”使用禁止を命じたから。Appleは「そんなことはしていない」というのだが、”iPhone”経由の情報窃取を気にしているようだ。

 

 実は昨年、ロシアも同様の禁止令を出している。その時も思ったのだが「え、まだ使っていたんだ」との印象。あれだけ米国のサイバー攻撃やスパイ行為を非難しておきながら、”iPhone”禁止がロシアより遅れたのにはわけがある。それは、半導体規制などで遅れていたHuawei社のスマホの完成を待っていたこと。上記禁止令に続いてHuawei社のスマホがロールアウトし、乗り換えが出来るようになったからだ。

 

    

 

 もとよりロシアにはそんな芸当はできず、ただ禁止するだけだったが、中国はちゃんとフォローしながらの禁止令である。

 

 一方で、中国の市民への締め付けは激化している。「反スパイ法」の強化もあったが、今度は治安管理処罰法の改正案に「中華民族の精神を傷つける服装」が盛り込まれそうだ。中国の人口は漢民族が一番多いのだが、実態は無数の少数民族含めた多民族国家である。もし少数民族の民族衣装でも着たら、逮捕されるのだろうか?元や清など北方民族に支配された歴史を雪ぎたい気持ちはわかるが、例によって基準があいまいなこの法律は濫用される公算が高い。

 

 その点、ロシアの方が(圧倒的に)民主的だと思えることがある。戦時下で情報統制・管理は強化されながらも、政権批判の軍事ブログも黙認されていて、その視聴者が爆発的に増えているというのだ。

 

ロシア、広がる混乱の火種 政権批判ブログの登録10倍に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 日経紙は「混乱の火種」と評しているが、ブログの相当部分は政権擁護・応援のスタンスだ。ある意味健全な民意の反映ともいえる。地方選挙は例によって与党圧勝だったが、来年には大統領選挙もある。

 

 それを前に賛否両論ありとはいえ、軍事ブログ等を規制していないロシアは、中国よりは民主的な国ですよね。