Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

海底ケーブルの重要さを認識

 南太平洋の平和な国「トンガ」を、1,000年に一度ともいわれる海底火山の大噴火が襲った。地震によるもの以外にも「津波」が生じることを、僕は初めて知った。8,000km離れた日本にも1mを越える津波が到達し、養殖イカダが流されたり、漁船が転覆するなどの被害が出た。日本では幸い死傷者はでなかったが、ペルーでは遊泳中の2人が亡くなっている。

 

 噴煙も3,000km離れたオーストラリアにまで到達、噴火を捉えた衛星画像は衝撃的でもあった。では「トンガ」の被害状況はと言うと、ほとんど情報が入ってこない。多くの人がインターネット経由で情報提供者になれる昨今、クーデターや内戦の状況もリアルタイムで映像が流れて来るのに・・・今回はどうしたのだろう。

 

 その答えは「海底ケーブルの破損」にあるようだ。海底火山の噴火がどのようにケーブルを損傷させたのかは不明だが、この地域がインターネット空白地帯になってしまった。噴煙越しの衛星画像しか情報がないので、ニュージーランドやオーストラリアが軍の哨戒機を飛ばして状況を確認しようとしている。確認出来れば次は、飲料水を始めとする支援物資の輸送をすることになる。

 

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 大西洋にも太平洋にも通信用の海底ケーブル網は整備されているのだが、南太平洋のこのエリアはまだ空白地帯が多い。ここに日本・米国等がケーブル敷設を考えていたのに、中国が割って入ってきたのが2年程前。Huaweiミクロネシア地域の敷設を受注すると見られていたものを、チリ政府などがひっくり返して日本案を採ったことは、昨年紹介した。

 

習大人のFS作戦に「待った」 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 今回は、日ごろ「黒子」である海底通信ケーブルの重要性を再認識した。友人である慶應の某教授のような「海底ケーブルマニア」でなければ、日ごろその恩恵にあずかっていても気付かないのが「黒子」のゆえん。

 

 そういえば岸田内閣の重要政策「デジタル田園都市国家構想実現」の中に、日本海側にも海底ケーブルを敷設し、日本列島を取り囲むようにするというものがあった。地方のデータセンターを増やし、危機管理上の「分散」をしたり、地方創生を果たすのが狙い。

 

 今回の事件で海底ケーブルの価値が見直され、この構想が前倒しされるといいなと思いますよ。