Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

希望の光か、悪趣味な愚行か

 世の「超富豪たち」は、宇宙がお好きらしい。先週は「アマゾン」の創業者ジェフ・ベゾス元CEOが、自ら立ち上げた民間宇宙開発企業「ブルー・オリジン」の弾道飛行ロケットに乗って宇宙旅行を行い、無事に帰還している。出発前から「宇宙から帰ってこないで」との声も上がり、帰還後に「アマゾン顧客と従業員、君たちが旅行代金を払ってくれた」と放言して、民衆の怒りの火に油を注いだ。

 

 かつて大統領候補の一人で民衆に人気のあるバーニー・サンダース上院議員は「豊かなはずの米国で、市民の半分が貧困に苦しんでいるのに、金持ちは宇宙に行く」と批判した。一方でこの記事のように、富裕層が宇宙旅行に挑む行為はプラスの経済効果をもたらし「第四次産業革命」の目玉になり得ると賞賛する向きもある。

 

億万長者の「宇宙開発」競争は、実はこんなに世界に貢献している|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

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  多分両者の意見は、どちらも正しい。立場の違いによってそう見えるだけだと思う。確かに短いとはいえ「宇宙旅行」をするお金があったら、それを慈善事業に廻せば飢えている人が大勢救える。しかし「宇宙」に挑戦することで、新しい技術が開発され、産業が生まれ、経済が発展する可能性はある。もちろん、新しい産業が大きくなって、ますます格差を拡大するという懸念もある。

 

 昨年「資本主義の終焉と歴史の危機」という経済書を紹介したが、資本主義はどこかのフロンティアを開拓し続けないと成り立たない、別の言い方をすればフロンティアを搾取できる間は資本主義が続く、という学説だった。

 

超マクロ経済学による説明 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 地球上にフロンティアらしきものが無くなった今、サイバー空間に求めるか、宇宙に求めるか、それとも大戦争でも起こしてフロンティアを作るかしか選択肢はないように思う。べゾスの他に英国の実業家ブランソン、「テスラ」のマスクCEOらも、サイバー空間から宇宙にそれを求めていると考えられる。サンダース議員と彼らのどちらが本当に正しかったかは、歴史家が評価するだろう。

 

 それにしても、ベゾス氏の帰還後の放言は問題ですね。日本のことわざ「実ほど首を垂れる稲穂かな」をお送りすることにしましょう。え、その放言自体AIなど使ったフェィク放言だって?そんな可能性もありますかね。