Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国選弁護人は何を考えるか

 東京オリンピックも終盤戦になった8日、このニュースの一報を聞いたとき「テロか」と一瞬身構えた。オリパラ期間にサイバー攻撃を含む何らかのテロ行為があるのではと、政府や重要インフラ企業は警戒度を最高レベルに上げていた。ここまで「誹謗中傷」騒ぎはあったが、重大事件は起きておらず「あと少しの期間警戒を」と思っている人たちを僕は沢山知っている。

 

小田急線刺傷 容疑者、女子大学生に複数回切りつけ 追いかけ襲ったか | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 しかし後の報道を聞くと、これは「キレた男の単独犯行、組織的・政治的な背景はなし」と分かった。米国のようなマシンガンまで容易に手に入る国ではないので、10名の重軽傷者が出たとはいえ、亡くなった人がいなかったことは不幸中の幸いだった。

 

 「誰でもいいが、幸せそうな女性を殺したい」と常々思っていたという容疑者(正直犯人と言ってもいいと思う)の動機は、とても身勝手なもの。目撃証言・物証・自供と揃っているので、すでに傷害罪等の「Guilty or Not Guilty?」を争う余地はない。本件も多分裁判員が裁くことになるのだろうが、弁護人はどう戦うのか興味が湧いた。

 

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 被告人が私費で弁護士を雇うとは思えない。 あるとすれば注目を集める裁判で実績を上げ、次のステップに進もうとする野心的な若手弁護士が当面の商売抜きで引き受けるくらいだ。そうNYの小室弁護士あたりが名乗り出るかも・・・冗談だが。

 

 だから、普通は国選弁護人が付く。弁護士からすれば旨味のない案件、事務的に淡々と裁判を進めるのだろう。犯行は明白で自供もあるので、検察側が言うなりに「しかるべく」を連発して、早く裁判が終わればいいというのが普通かもしれない。

 

 しかし被告人のこれまでの経歴から、「情状酌量に訴える」手段もあり得る。プロの裁判官なら容易に動かされない「泣き落し」戦術も、裁判は初めてという裁判員相手になら通用するかもしれない。

 

・ずっと虐げられてきたのです。

心神耗弱だった可能性もあります。

・社会がもっと見守ってやれれば、こんなことにはならなかった。

 

 と並べ立てると、量刑まで裁判員が決める日本の制度では、意外と軽い刑を勝ち取れるかもしれない。そんな妄想を抱かせてくれる事件です。今後の展開に注目していますよ。