米国議会にはいくつもの機関があるが、その中でも昨今の事情で注目されているのが「サイバー空間ソラリウム委員会」。過去にも多くのサイバー攻撃対策を提言していて、例えば、
・大統領執務室でのサイバーテロに対応するディレクターの設置
・2年ごとの行政・議会・州政府・民間が参加するサイバー演習
などである。昨年8月には具体的に中国を名指しして、
・知的財産侵害で、米国企業は多額の損失を被っている。
・悪意ある攻撃で、安全保障・経済・政治体制・公衆衛生が危機にさらされている。
と警鐘を鳴らすレポートを公表した。加えて10月には「信頼できるICTサプライチェーン構築」のための提言を発表している。例えばHuaweiの5Gルータなどを意識しての物だろうが、安心・安全なネットワークを構築・運用・維持するために、
・カギとなる技術や機器の特定
・最低限の製造サプライチェーン容量確保
・サプライチェーンの侵害からの防御
・国内市場の活性化
・国際競争力の確保
をするべしとある。米国一国でできない部分もあり、信頼のおけるパートナー国として、英国・フィンランド・スゥエーデン・台湾・韓国と日本の名前が挙がっている。このレポートは「台湾は中国の一部ではない」と言っているわけだ。
さらにこの提言を具体化するための法案(National Defence Authorization Act 2021)も、この委員会は用意した。この法案は議会で成立したものの、当時のトランプ大統領が拒否権を発動した。しかし議会は屈せず、年末に再度議決し成立した。下院335対78、上院84対13という圧倒的な支持である。
まだ「部品供給者レベル」でだが、米国の中国包囲網には入れてもらえそうな日本でる。しかし、国内にはいろいろな意見があるだろう。以前の「サンデーモーニング」で寺島実郎先生が、昨年の貿易量は米国相手より中国相手の方がずっと多く、しかも増えているとおっしゃり、「Five Eyes加入などでまたカネを取られるぞ」と英米との協調には否定的な見解だった。
一党独裁で強権的な国家と民主主義国家、どちらを選択するか安全保障面では明白なのですが、経済がからむとそうも行かないようです。当分この論争は続きそうですね。