Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

手遅れだよ!福音なのに

 20年前はほんの狭い世界だったデジタル政策の場で、割合長く経験を積んできた。変化の速い業界で技術先行なので、政策と言っても「官僚の世界の常識」は通用しにくい。自然と霞ヶ関内の闘争も、民間を巻き込んだものにならざるを得ない。

 

 そうはいっても、この世界では人脈も大事。20年前係長だった人が、今は有力官庁の審議官ポストにいたりするから、長くやっているということは有難い。そんなわけで、国際会議の場にもこの10年、顔を出してきた。日米の会合でワシントンDCへ、日欧の会合でブリュッセルへ、「COVID-19」感染拡大以前は何度も出かけたし、近年はASEANや中東にまで出かけるようになった。

 

 そんな場での僕の悩みは「英語」、参加者の中で僕が一番下手なのではないかと思うことが多い。それがビデオ会議全盛の時代になって、2つ悩みが増えた。

 

1)気軽にできるので回数が増えた。

2)リモートだとどうしても聞き取りにくい。

 

 先日も在日米国商工会の人とビデオ会議をしたのだが、2人の米国人は日本語ペラペラと安心していたら、一貫して英語でまくしたてられた。どうも米国大使館の人が聞いていたらしい。それなら最初からそう言ってよ・・・。

 

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 来週も日米の会合があって、オンライン・パネルに出ろと言う。モデレータが欧州委員会の人、通訳なしとのこと、やれやれ。英語公用化の日本企業もあるくらいだから、仕方ないか。僕もそろそろ引退かな、と思っていた。すると、

 

AI翻訳のロゼッタ、全社員に「英語禁止令」発令「英語は本業の能力とは何の関係もない」 (ledge.ai)

 

 なんと「英語禁止令」の会社だって!なるほどAI同時通訳の企業なら、納得できるというもの。「英語は本業の能力と関係なし」とはよく言ってくれた。福音には違いないのだが、もうちょっと早かったら僕も何かできたかもしれないと、喜びも半減してしまった。

 

 確かに言語のバリヤーは減りつつある。電話ではよく分からなかった話も、メールで貰えば自動翻訳機能で日本語で読めるようになった。多少おかしい日本語でも、意味は充分伝わる。技術は日進月歩、あと10年経ったら英語コンプレックスなしに外国人と意見交換できるかもと思いつつも、その時僕は75歳。やっぱり手遅れだよね。

 

 まあ仕事はともかく、人生100年時代の終盤、英語コンプレックスなしに旅行できるだけでもいいですかね。