Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

十大リスクの中身を聞く

 先週「ユーラシア・グループ」が発表した、2021年の世界十大リスクを紹介した。今回は、その研究者から直接その中身を聞く機会があった。リスクを再掲すると、

 

1.バイデン政権

2.長びく「COVID-19」

3.気候:Gゼロ時代のネットゼロ

4.米中緊張の拡大

5.国際的なデータ規制強化

6.サイバー紛争の激化

7.冷たいトルコ

8.中東:石油収入の低迷

9.メルケルの後の欧州

10.ラテンアメリカの失望

 
 であって、3回に分けてオンライン会議方式で説明してくれるという。僕に経団連から案内が回ってきたのは、その第二回。#4~6を扱う回だった。僕の関わっているデジタルがらみの話題が2つあるし、米中対立はその背景でもあるので期待して参加した。
 
 ユーラシア・グループ日本代表の挨拶で始まり、研究者からトランプ支持者による議会乱入事件について米国分断の象徴だとのコメントがあった。まず#4については、
 
・米国の対中戦略は同盟国を意識したものに転じるが、緊張そのものは緩和しない。
・中国は自らが発端の「COVID-19」も利用して、ワクチンで新興国を抱え込む一方、WHO調査団は受け入れない。
 
 と不透明さが増すとの見解。
 

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 次に#5について、
 
・経済だけではなく安全保障分野も含めてデータの重要性は増しているのに、国境を越えるデータが減ったり止まるリスクがある。
・5G/IoT/AIといった新技術の登場が、国家間のデータ覇権争いを激化。
・米欧間の個人情報保護を巡る紛争(プライバシーシールド問題)は続き、産業界には悪影響を及ぼす。
 
 と解説し、最後に#6について、
 
・「COVID-19」の影響下世界で数億人の人がテレワークをしていて、脆弱性は高まっている。
・5G等上記新技術の活用拡大も含め、社会的なサイバーリスクを高める要因には事欠かない。
・ロシア、中国、イラン、北朝鮮の活動は激化し、抑止はますます難しくなっている。
マルウェアが効きすぎたり、対峙がエスカレートしたり、期せずして「サイバー戦争」に突入するリスクも無視できない。
・大きなリスクでなくても小さなリスクが無数にバラまかれているので、それが突然「化ける」ことが懸念される。
・戦争に至らない様な努力「サイバー交渉:外交」が求められるが、現時点では上手くいっていない。
 
 とのことだった。すべてうなずけることですが、改めて識者から聞けたのはいい機会でしたね。