Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日米2プラス2への期待

 先週「QUAD」の首脳会談がオンライン形式で行われ、米国のバイデン大統領、オーストラリアのモリソン首相、インドのモディ首相と日本の菅首相が会談した。テーマは「自由で開かれたインド・太平洋」で、中国包囲網と見る人が多い。米国バイデン政権としては対中強硬姿勢を鮮明にしながらも、トランプ政権と違い同盟国との絆を重視している。ただ欧州各国の反応はイマイチだったようで、太平洋地域のこの同盟関係には期待していることが多かった。

 

 結果としては良好な関係を構築できたとの評価もあるが、米国の安全保障中心の議論と経済も重視する他国との溝を感じたとする意見もある。僕自身あるサイバーセキュリティ関連の国際会議で日米欧の議論を聴いたが、各国政府・産業界が経済中心の論調なのに米国(CISA : Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)だけが安全保障面を強調していた。

 

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中国海警法に懸念表明へ 「尖閣」けん制、文書明記調整―16日に日米2プラス2:時事ドットコム (jiji.com)

 

 明日は日米両国の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が、東京で In Person 形式で開催される。そこでは、

 

沖縄県尖閣諸島日米安保適用対象であることの確認

・中国海警局の武器使用を認めた「海警法」への懸念を共有

 

 することが主目的だと上記の記事は言う。「海警法」は国際法違反の疑いがあるというのが両国の意見だが、当然中国当局は「完全に合法」と突っぱねている。表面上日米両国の批判など気にしていないぞとの態度だが、実態は少々気にしているらしい。

 

 ある専門家によると、「海警法」について調査しているシンクタンクに何者かが「サイバー攻撃」をかけてきたらしい。アトリビューションやアンティシペーションの能力が高くない日本の機関でも、さすがに警戒していたから検知できたのだろう。これは表面上とは違い、中国当局が「海警法」関連で海外の反応に注意を払っていることを示しているように見える。

 

 驚いたことに日本共産党の志位委員長が、中国のウイグル等への弾圧を批判し「日本も制裁行動に出るべきだ」と主張しています。素直にこれら国内の気運を歓迎し、2プラス2では実効ある議論を期待したいと思います。